トラックの積み卸し作業では、従来は労働者が重い荷物を手動で扱う必要がありましたが、テールゲートリフターの導入により、電動モーターや油圧システムを使って効率的かつ安全に作業が行えるようになりました。これにより、作業時間が短縮され、労働者の体力的負担や事故のリスクも大幅に軽減されています。現在、トラック業界においてテールゲートリフターは作業効率と安全性を高める必須の装備となっています。
テールゲートリフター特別教育の義務化
貨物自動車における荷役作業時の墜落・転落防止対策に関する規則が改正されました。
テールゲートリフターを使用して荷を積み卸す作業への特別教育の義務化
[令和6年2月1日施行]荷を積み卸す作業を伴うテールゲートリフターの操作の業務が、特
引用元:陸上貨物運送事業労働災害防止協会
別教育の対象となります。【学科4時間・実技2時間】
➢ 貨物自動車に設置されたテールゲートリフターが対象です。
➢ 荷を積み卸す作業を伴わない定期点検等の業務は対象外です。
➢ 介護用の車両に設置された車いす用の装置等は対象外です。
⚫ テールゲートリフターの稼働スイッチの操作だけでなく、荷のキャ
スターストッパー等の操作、昇降板の開閉や格納など、テールゲー
トリフターを使用する業務も対象となります。
⚫ 荷を積み込んだロールボックスパレット等をテールゲートリフター
の昇降板に乗せ、又は卸す作業を行う者も、できる限り特別教育を
受けることが望ましいです。
テールゲートリフターの種類
以下は、一般的なテールゲートリフターの種類のいくつかです。
垂直式のテールゲートリフター
- 垂直式のパワーゲート
- 地面に対して垂直になっているレールに装着された台を上下に動かすことにより、積荷を積み下ろしできるタイプです。
- 荷役作業時にパワーゲートを使用し、必要なときに上下動させて積荷の取り扱いを容易にします。
- トラックのアオリ自体がゲートになるタイプ
- 荷台後部に立てて収納し、作業し終わったらゲートがそのままアオリになり、トラックの一部となります。
- パワーゲートを使用しないときでも、ゲートはトラックのアオリに収納され、作業の邪魔になりません。
- 後付けが可能で総重量の変更が少ない
- 装備していてもトラックの総重量に与える影響は少ないため、総重量の変更を気にすることなく後付けできます。
- これは、トラックの操縦安定性や法規制への適合性に対する影響を最小限に抑える利点があります。
スイング式(アーム式)
- スイング式(アーム式)
- アームを荷台後部の床下に取り付け、これを動作させてリフトの部分を動かします。
- 上下に昇降させるだけでなく、リフトを斜めに傾けて、坂道のような傾斜をつけることが可能です。
- 用途の拡張
- 車輪のついている自転車やバイクの積み降ろしが容易であり、特に便利です。
- 福祉車両に取り付ければ、車椅子の方の乗せ降ろしもスムーズにできるなど、多岐にわたる用途が考えられます。
- 制約事項
- リフト部分が荷台から少し離れて昇降するため、重心が高い荷物には不向きかもしれません。
- リフト部分の格納方法
- 荷台の下に格納できるタイプや、跳ね上げたり垂直に立てて格納するタイプなどが存在します。
- 格納方法によって、車両の外観や機能が異なり、使用時以外のスペース効率が向上することがあります。
積荷の固定
トラックで輸送する荷物は、輸送中に荷台内で動かないようにしっかりと固定する必要があります。荷物が揺れたり動いたりすると、トラックのバランスが崩れたり、荷物が破損したり、事故の原因になることがあります。
そのため、荷物を荷台に積み込む前に、積荷の固定を行うことが必要です。積荷の固定には、ラッシングベルト(荷締めベルト)などの縛り具を使用することが一般的です。
カーゴ機材を使用する
カーゴ機材↑
カーゴという機材を使って荷物を積み込む場合、テールゲートリフター搭載のトラックを使用することで、より効率的かつ安全に荷物の積み込みが行えます。
荷物の大きさや形状、重量によっては、積荷の固定方法も異なります。また、トラックによっては、積荷を固定するためのアンカーが設置されている場合があります。アンカーを使用することで、より安全に積荷を固定することができます。
カーゴは、トラック荷物用の台車のことで、荷物を台車に載せてトラックの荷台に移動することができます。テールゲートリフターを搭載したトラックを使用することで、カーゴで荷物を荷台に移動させる際に、リフトゲートを使って荷物を地面から荷台に持ち上げることができます。
これにより、荷物を地面から持ち上げる必要がなく、ドライバーの負担を軽減できます。また、荷物の積み込み作業も効率的に行えるため、作業時間の短縮や作業効率の向上にもつながります。
カーゴは中に荷物を積んで荷崩れを防いだり、荷物の個数を合わせるのに便利、満杯に荷物を積んでも車輪が付いているので一気に運べる優れものです。
カーゴに荷物を積み終わったらカーゴごとテールゲートリフターでトラックに積み込むだけです。
ラッシングベルトを使用する
「ラッシングベルト」とは、荷物をトラックやコンテナなどの荷台に固定するために使用されるベルト状の道具で、荷締めベルトとも呼ばれます。一般的にはナイロン、ポリエステルなどの強い素材で作られており、長さや幅などの仕様は、運搬する荷物の大きさや重さに合わせて異なるものがあります。
ラッシングベルトは、トラックやコンテナの荷台に固定されたフックに引っ掛けることで、荷物をしっかりと固定することができます。また、荷台の内部で荷物同士が衝突したり、移動したりすることを防ぐため、運搬中にも保持力を維持するように設計されています。
荷物の運搬において、ラッシングベルトは非常に重要な役割を担っており、正しい使い方が必要です。適切に使用することで、荷物の安全な輸送に貢献することができます。
緑色の帯状の物がラッシングベルトです↑、耐久性があり適切に積み込んだ荷物であれば切れることは無いです。
ラッシングベルトを使いこなす
ラッシングベルトは、荷物をトラックの荷台に固定するために使用される縛り具の一つであり、ストラップやロープよりも強度が高く、耐久性に優れています。ラッシングベルトを使いこなすためには、以下のポイントに注意することが重要です。
- 【適切なベルトの選択】ラッシングベルトは、荷物の大きさや形状、重量に合わせて選択する必要があります。適切な長さと幅、耐荷重を持つベルトを選択することが大切です。
- 【ベルトの通し方】ベルトを荷台に通す際には、ベルトが摩耗したり、切れたりしないように、鋭利な部分に引っかかったり、曲がり角で摩擦を受けたりしないように注意が必要です。
- 【引き締め方】ベルトを引き締める際には、荷台や荷物に対して垂直になるように引き締めることが重要です。また、ベルトが曲がっていないか、結び目が緩んでいないかなども確認する必要があります。
- 【固定方法】ベルトを固定する際には、荷台に取り付けられたアンカーやフックを使用することが一般的です。アンカーやフックの位置や数を適切に選択し、ベルトをしっかりと固定することが必要です。
以上のポイントに注意しながら、適切なラッシングベルトを使い、荷物をしっかりと固定することが大切です。
ラッシングベルトの締めすぎには注意が必要です、カーゴのフレームが曲るため、「強くもなく、弱くもなく、ほどほどに締める」がポイントです。
正しく装着↑「ワンピース」と呼ばれる部分のつまみは必ず上です。
※つまみ部分を下にすると走行中、外れる可能性があります。
優しい運転で荷崩れ防止
荷崩れは、配送業務において非常に重要な問題です。荷物が崩れたり移動したりすると、安全性が損なわれたり、配達先でのトラブルや返品につながる可能性があります。そこで、優しい運転が荷崩れ防止に大きく貢献します。
優しい運転とは、急ブレーキや急加速を避け、コーナリングや道路の段差などで荷物が揺れないようにする運転のことです。また、運転中に荷台の揺れを最小限に抑えることも重要です。荷物が固定されている場合でも、揺れが大きい場合は荷崩れの原因となることがあります。
荷物を積み込む際には、荷台上にしっかりと固定することが必要です。ラッシングベルトなどを使用して荷物を縛り付け、荷台の端部にも荷物を置いて均等に配分することが大切です。また、荷物の性質に合わせてパレットや段ボール箱などの輸送用具を選び、荷物が揺れないように対策を行うことも重要です。
優しい運転と荷物のしっかりとした固定を心がけることで、荷崩れを防止し、配送業務をスムーズに行うことができます。
まとめ
テールゲートリフターは、電動の昇降機構を備えた荷台の後部に取り付けられた装置であり、荷物を簡単に積み降ろしすることができます。基本的には、ドライバー自身で荷物の積み込みを行うために開発されたものであり、ラッシングベルトを使って荷物を固定することができます。
テールゲートリフターの操作は非常に簡単で、リモコンの操作だけで荷物の積み降ろしを行うことができます。リモコンには、昇降・上昇・下降などの操作ボタンがあり、荷物を積み下ろす場合には下降ボタンを押し、荷物を地面に降ろし、荷物を積み込む場合には昇降ボタンを押してパワーゲートを荷台の高さに合わせます。また、荷物を積み込んだ後には、テールゲートリフターを荷台に固定するためのロック機構も備えています。
テールゲートリフターは、荷物の積み降ろしを効率的に行うことができるため、配送業務などにおいて多くのドライバーに利用されています。