教養あふれる「文書力」とは、単に相手に分かりやすく的を得た文章を書くことだけでなく、専門知識にふさわしい言葉を的確に選ぶ「語彙力」を持つことが不可欠です。この「語彙力」とは、豊かな言葉の宝箱を手に入れる力であり、文章を書く上での鍵となります。
文書力を持つことは、読者に対して理解しやすい文章を作成するだけでなく、専門的な分野やビジネス現場での信頼性や好感度を高める要素でもあります。相手に分かりやすく伝える能力は、情報社会においてますます重要になっていますが、それだけでは不十分です。文章を書く際に適切な言葉を選び、語彙力を増やすことで、読者はより尊敬し、信頼する対象として捉えるようになるのです。
この序文では、「教養あふれる文書力」の重要性について探求し、語彙力を増やす方法やその効果について掘り下げていきます。自分の言葉で的確に伝える力を養い、ビジネスや専門分野において信頼されるリーダーとして成長するためのヒントを提供します。
「文章力」を高めるために語彙力が必要な訳
ビジネス現場で役に立つ文章を書くためには、何が求められるでしょうか。それは、語彙力です。金融業でも、製造業でも、運送業でも、そこには業界特有の専門語があります。そうした専門語に精通していることで、「文章」の選択技を増やし、微妙なニュアンスの伝達が可能になります。つまり、専門的な語彙力を身に付けることで、仕事をこなせるようになります。
語彙力とは・・・その人がもっている単語の知識と、それを使いこなす能力。
どんなに能力がある人でも、稚拙な表現をしていたり、思慮の浅そうな表現をしてしまえば、社会人としてのレベルを低く見積もられてしまう。
参考:「語彙力をないまま社会人になってしまった人へ」
語彙力をつけたほうがいい3つの理由
- 正確に説明できる・・・物事を説明するときに、頭の中で考えていることを的確な言葉を選んで表現できる。
- 理解力が上がる・・・語彙を豊富に知っていると、本を読んだときや人の話を聞いたときに、内容を深く理解できる。
- 豊かに表現できる・・・同じ言葉の繰り返しが減り、表現力が豊になる。
例えば・・・
【✕悪い例】:映画「バンクーバーの朝日」はおもしろかった。とくに、ラストシーンがおもしろかった。とてもおすすめの作品だ。
【〇良い例】:映画「バンクーバーの朝日」はおもしろかった。とくに、ラストシーンが意外で目を疑うほど。一押しの作品だ。
- おもしろかった→意外で目を疑うほど
【✕悪い例】は、2回「おもしろかった」と同じ表現が出てくるため、文章が未熟な印象です。他の言葉で「どうおもしろかったのか」を具体的に説明したほうが、イメージしやすくなります。
- とてもおすすめ→一押し
「とてもおすすめ」も悪くないですが、平凡な印象を与えます。言葉の言い換えをしましょう。
語彙力が「ある」か、「ない」かによって社会人としての評価が左右される場合があります。
語彙力を身に付ける方法
語彙力は、一夜漬けで単語を覚えるのとは違い、すぐには身に付きません。普段から、わからない言葉があったら辞書を引き、意味を理解する、語彙力を高めるために最も役に立つ方法です。
語彙力を身に付けるためには
- 多くの本、新聞、雑誌などを読むことで、新しい単語や表現を知ることができます。
- 不明な単語が出てきたら、辞書を使って意味を調べましょう。
- 新しい単語を覚えるためにボキャブラリーカードを使うと効果的です。
- 他の人との会話や、英語の映画、ポッドキャストなどを聞いたり、話したりすることで、自分の語彙力を磨くことができます。
- 学んだ単語を日常的に使うことで、覚えが持続するようになります。
句読点の打ち方
句点「。」いわゆるマル、と読点「、」いわゆるテン、を2つ合わせて句読点と言います。
句読点には、文章の意味を明確にすることやリズムを刻むといった、文章にとって重要な役割があります。
句読点
句点「マル」は文章の終わりにつければいいですが、文章を書いて迷うのが、読点「テン」です。その読点「テン」には基本ルールがあるので、覚えましょう。
読点「、」8つのルール
- 文の切れ目に打つ
- 修飾する文章が長いとき、そのあとに打つ
- 対等に語句を並べる時に打つ
- 接続詞、逆接の助詞の後に打つ
- 挿入された語句の前後や文節を区切るときに打つ
- 引用を示す「と」の前に打つ
- 感動詞や呼びかけの句の後に打つ
- 修飾する語とされる語の関係を明確にするために打つ
※ただし上記の通り打たなかったからといって、間違いではありません。
「テンはすらすら読めて、意味もよくわかるように打たれていればいいわけです。」
参考:「書くことが思いつかない人のための文章教室」
テンを打つには、リズム、呼吸、が大切
文章を書くのが慣れてきたら、リズム感や呼吸を意識して、テンを打つ。それでもテンを打つ位置に迷ったら、声に出して読みながら確認する。
- 「読点を打てば、読みやすくなるかどうか」
- 「読点を打てば、誤解を招かなくなるかどうか」
声に出すと、リズムが分かります、読点に迷ったら文章を音読するといいです。
余計な言葉を削る
分かりやすい文章を書くには、無駄な言葉を使わず、簡潔に書くことが重要。
文字数の多い文章ほど、文体の乱れが起きたり、文章の流れが悪くなりがちです。したがって削っても文章の意味が変わらない言葉は省略するのが基本。
例えば・・・
【✕悪い例】:新型コロナウイルスというものは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中のいたるところすべてで、とても大きな被害が発生する状況が続いているのです。
【〇良い例】:新型コロナウイルスは、人に感染する7番目のコロナウイルスです。世界中で大きな被害出ています。
- 新型コロナウイルスというものは→新型コロナウイルスは
「というものは」に実質的な意味はないので、削る。
- 世界中のいたるところすべてで→世界中で
「世界中」には、「いたるところすべて」の意味が含まれているため、類語の重複を避ける。
- とても大きな被害が発生する状況が続いているのです→大きな被害が出ています。
まわりくどい表現をやめ、短く言い換える。
削りやすい言葉
著者の多くが、「削りやすい言葉」の候補として次のような言葉を挙げています。
- 接続詞・・・「そして」「しかし」「だから」など
- 主語・・・・「私は」「彼が」など
- 指示語・・・「その」「それは」「これは」など
- 形容詞・・・「高い」「美しい」「楽しい」「嬉しい」など
- 副詞・・・・「とても」「非常に」「すごく」「かなり」など
意味が重複する言葉
- まず最初⇒最初に
- 思いがけないハプニング⇒ハプニング
- 馬から落馬する⇒落馬する
- はっきり断言する⇒断言する
- 最後の切り札⇒最後
- 後で後悔する⇒後悔
- およそ3分ほど⇒およそ3分
1文の長さの目安は、「60文字」以内
文章のプロは、例外なく「1文を短くする」ことの大切さを説いています。様々な文章を精査した結果、「80文字」では長すぎる、多くの書籍に共通して「60文字以内」が好ましいと言う意見でした。
参考:「文章術のベストセラー100冊」
「文書力」を高めるには、とにかくたくさん書くこと
文章を上達させるには、とにかく書くこと、と文章のプロは推奨してます。理由として、「文章が上達する」、「書く内容が固まる」この2つを挙げてます。更に、書き続けないと、上達しないのはもちろんですが、文章を書けなくなる、と言ってます。
時間を見つける
文章を書き続けるのは分かりますが、仕事や、主婦だったら家事があり、余裕がない方が多いです、そんな方はどのようにすればいいのでしょうか。
時間を決めて毎日書く
慣れるまでは、強制的に書くことが重要
- 20分でも30分でもいいから、時間を決めて毎日書く
- 決めた時間は必ず書く
- 徐々に書く機会を増やす
文章を書くキッカケを作る
- ブログを書く
- 日記をつける
- はがき、手紙を書く
- 鑑賞ノートの作成
- 小説の感想を書く
実際に行動に移そうと思ったら、結構キッカケは見つかります、結局、本人の気持ち次第です。
カタカナ語を日本語に
文章の中にカタカナ語が多いと読みにくくなります。
意味のわからないカタカナ語が出てくると、読み進められなくこともあります。また、カタカナ語は対応する日本語より1単語の文字が多くなりがちです。
すでに日常でよく使われている外来語「テレビ」「スーツ」などは別にして、それ以外のカタカナ語はできるだけ使わず、日本語に置き換えましょう。
例えば・・・
【✕悪い例】:コア・コンピタンスを明確にし、シナジーを創出して、プレゼンスを発揮しよう。
【〇良い例】:独自の強みを明確にし、協働による相乗効果によって、影響力を高めよう。
「コア・コンピタンス」「シナジー」「プレゼンス」を日本語に変えたことで、読みやすくなりました。
文章を書く際、一般に意味がわからないカタカナ語をどうしても使いたい場合は、説明を入れるようにします。
最後に
言葉の力強さを引き立てる語彙力鍛錬法。多読・異文化理解・他者模倣などで知識の幅も広がり、文書力向上。積極的なディスカッションや自己表現、新聞の活用が鍵。言葉の遊びと新言語学習で感度アップ。挑戦と成長の旅を大事にし、他者のフィードバックに耳を傾けることで、より深い表現力を手に入れよう。
「文書力」を高める、と言うテーマで今回書きました。私自身の経験や様々な書籍を拝見し、これは役に立つと思ったことをまとめ、皆さんにお伝えしようと思った次第です。少しでも役に立てれば幸いです。