近年、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなど、多くの携帯電子機器が普及しています。しかし、これらの機器は電源がなければ使えないため、外出先や災害時などでの使用には不便が伴います。そこで、ポータブル電源が注目されています。
本記事では、ポータブル電源の基礎知識から、選び方や使い方、さらにはポータブル電源の活用法についても解説していきます。是非、最後までお読みいただき、ポータブル電源の便利さを知っていただければ幸いです。
ポータブル電源とは
ポータブル電源とは、携帯性が高く、外部電源が利用できない場所での電源供給を目的とした装置です。
一般的には、リチウムイオン電池を使用し、USBやACコンセントなどの出力端子を備えていて、主にアウトドアや非常時の備えとして、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどの充電や、懐中電灯やポータブル扇風機などの電動製品の動作に利用されます。
最近では、太陽光パネルを搭載したものや、車のシガーソケットから充電できるものなど、より使い勝手の良い製品も増えてきています。
ポータブル電源の使い道
ポータブル電源の使い道は、以下のようなものがあります。
- 【アウトドアでの充電】キャンプやハイキング、釣りなど、電源がない場所でのスマートフォンやタブレットの充電に欠かせないものです。
- 【災害時の備え】停電や自然災害が発生した際に、スマートフォンや懐中電灯、ラジオなどの非常用品の充電などに利用され、とても役立ちます。
- 【旅行時の充電】旅行先でホテルや宿泊施設のコンセントが使えない場合、ポータブル電源を使ってスマートフォンやカメラの充電にとても便利です。
- 【車内での利用】車のシガーソケットから充電できるポータブル電源を使って、車内でスマートフォンやタブレットの充電や、カーナビやドライブレコーダーの電源に利用可能。
- 【屋外での電動製品の動作】懐中電灯やポータブル扇風機、充電式のドリルや掃除機など、屋外で電源が必要な電動製品の動作にも利用可能。
ポータブル電源は、携帯性が高くさまざまな場面で活用できるため、非常に便利なアイテムです。
ポータブル電源の選び方
ポータブル電源を選ぶ際には、以下のようなポイントに注意すると良いでしょう。
- 容量
- ポート種類
- 充電時間
- 定格出力
- 電力周波数
1.容量
ポータブル電源を選ぶ際には、いくつかの要素が考慮されますが、その中でも重要なのが容量です。
容量は、ポータブル電源がどれだけの電力を提供できるかを示しますが、ポータブル電源を使用する目的によって、必要な電力は異なります。
例えば、スマートフォンやタブレットを充電するためだけであれば、低容量のポータブル電源が十分ですが、キャンプやアウトドアで使用するためには、高容量のポータブル電源が必要になります。
2.ポート種類
ポータブル電源を選ぶ際に、ポート種類も重要な要素の一つです。ポート種類は、ポータブル電源に搭載された充電用のポートの種類を指します。以下は、ポータブル電源のポート種類を選ぶ際に考慮すべきポイントです。
ACポート
ACとは、Alternating Currentの略で、直流(Direct Current)とは対照的に、電気的なエネルギーが正と負の方向に交互に流れる電流のことを指します。
家庭やオフィス、店舗など多くの場所で使用されていて、一般的に家庭用のACコンセントは、100Vの交流電源を供給することができます。
DCポート
DCとは、Direct Currentの略で、電気的なエネルギーが一定の方向に流れる電流のことを指します。
DC電流は、電力の損失が少なく、モーターや電子回路に適した特性を持っています。そのため自動車、航空機、工場の制御装置などに広く使用されています。
USBポート
USBポートとは、Universal Serial Busポートの略で、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの機器に搭載される、小型の接続ポートのことを指します。
USBポートは、USB 1.0、USB 2.0、USB 3.0、USB 3.1などの規格があり、それぞれ最大速度や電力供給量が異なります。
パソコン本体や外付けハードディスク、プリンター、カメラ、スマートフォン、タブレットなどの様々な機器に使用されています。
シガーソケット
シガーソケットとは、自動車やバイクなどの車両に搭載される、電子機器やドライブレコーダーなどを接続するためのポートのことを指します。
シガーソケットは、タバコの灰皿として使用される「シガーアッシュトレイ」の形状をしており、そのためこのように呼ばれるようになりました。
シガーソケットには、DC 12VまたはDC 24Vの電源が供給されており、車載用の冷蔵庫やモバイルGPS、カーナビ、スマートフォンの充電器など、様々な電子機器に使用されます。
3.充電時間
ポータブル電源の充電時間は、製品によって異なります。急速充電に対応しているか、太陽光パネルを搭載しているかなど、充電方法によって異なるため、使用する環境に合わせて選ぶことが大切です。
ポータブル電源の充電時間は、使用頻度や外出先での充電機会が限られる場合には重要なポイントとなります。充電時間が短いものや、急速充電に対応したものを選ぶと便利です。
ポータブル電源の充電時間は、以下のような要因によって変化します。
- 充電器やUSBポートから供給される入力電力が大きいほど、充電にかかる時間は短くなります。急速充電に対応しているポータブル電源を選ぶと、充電時間を短縮できます。
- ポータブル電源によって、充電方式が異なります。ソーラー充電、USB充電、ACアダプター充電など、それぞれの充電方式によって充電時間が異なります。
4.定格出力
ポータブル電源を選ぶ際に、定格出力は非常に重要な要素です。定格出力は、ポータブル電源が供給できる最大電力の量を示します。以下は、ポータブル電源の定格出力を選ぶ際に考慮すべきポイントです。
- ポータブル電源の定格出力を選ぶ際には、使用する機器やアプリケーションに必要な電力を正確に把握することが重要です。たとえば、スマートフォンやタブレットの充電には比較的少ない出力で十分ですが、キャンプやアウトドア活動で使用する場合は、冷蔵庫やテレビなどの機器によってはより高出力が必要になることがあります。
- ポータブル電源の定格出力は、過剰な負荷がかかった場合に発生する過熱や火災の危険性に影響します。そのため、必要な出力を正確に計算することは、ポータブル電源の安全性を確保するために重要です。
- ポータブル電源の重量やサイズ 定格出力が大きいポータブル電源は、一般的に大きく、重くなります。ポータブル電源を移動する必要がある場合や、アウトドア活動に持ち運ぶ場合は、重量やサイズが重要な要素となるため、適切なサイズと出力を選ぶ必要があります。
- 必要な出力に加えて、余分な予備電力があると、急な停電や緊急事態に備えることができます。より大きな定格出力のポータブル電源には、余分な予備電力を確保するための余裕がある場合があります。
以上のポイントを考慮して、必要な出力を正確に計算し、適切なポータブル電源を選択することが重要です。
5.電力周波数
東日本と西日本で電力周波数が異なるため、異なる周波数を使用する機器や設備を使用する場合には、周波数変換器を介して対応する必要があります。
東日本の電力周波数は50Hzであり、西日本の電力周波数は60Hzです。東日本の主要な電力会社は東京電力、東北電力、北陸電力、中部電力(一部地域)であり、西日本の主要な電力会社は関西電力、中国電力、四国電力、九州電力です。
東日本は50Hz、西日本は60Hz 何故?
日本の電力系統において、東日本と西日本で周波数が異なるのは、歴史的な背景や技術的な要因によるものです。
日本において、最初に電力が普及したのは東京周辺であり、当初の電力供給は、アメリカ合衆国から輸入された50Hzの交流電力でした。その後、日本の中心部や西部にも電力網が整備されるにつれて、西日本の一部地域では、フランスから輸入された60Hzの交流電力が使用されるようになりました。
このように、東日本と西日本で電力周波数が異なるのは、当初の電力供給のルートや技術的な要因によるものです。また、日本においては、東日本と西日本の電力網を相互接続することができないため、電力網の接続や電力の融通に関して課題があります。
主な電気製品の消費電力
主な電気製品の消費電力は以下のようになります。ただし、製品やメーカー、モデルによって消費電力が異なる場合がありますので、あくまでも参考程度にご覧ください。
- エアコン: 2.5kW
- 冷蔵庫: 200W
- テレビ: 300W
- ノートパソコン充電器: 90W
- 照明: 100W
- 掃除機: 2,000W
- 電気ストーブ: 2.0kW
- 炊飯器: 700W
- コンピューター: 500W
- スマートフォン充電器: 15W
ポータブル電源を長く使うための心得
ポータブル電源を長く使うためにはちょっとしたコツがあります。是非参考にしてください。
- 【パススルー充電は苦手】ポータブル電源の充電をしながら家電製品へ給電を行うとバッテリーの負荷となり、寿命を縮める原因となります。
- 【ポータブル電源は温度・湿度に敏感です】保管場所には注意、高温多湿や低温な環境は避けましょう。特に夏の車内はとても危険。
- 【長期間保管される場合】バッテリーは充電されない状態で長期間放置すると、自然放電により電力を失い、バッテリーの性能が低下する可能性があります。そのため、定期的に充電し、保管前に充電することをお勧めします。
正しい充電方法を使用し、定期的に保守を行い、十分な注意を払って扱うことで、寿命を延ばすことができます。
ポータブル電源の寿命は?
ポータブル電源の寿命は、使用頻度、バッテリー容量、充電サイクル数、保管状況など、多くの要因に影響されます。一般的に、バッテリー寿命は、約500〜1000回の充電サイクル(0%から100%充電で1サイクル)で終了するとされています。
ポータブル電源の寿命は、製造元やモデルによって異なります。製造元の指示に従い、適切に取り扱い、充電することが重要です。
ポータブル電源おすすめ12製品
ポータブル電源の中でも、特におすすめの製品をいくつか紹介します。それぞれ特徴が異なりますが、どれも高品質で多機能なポータブル電源です。用途や予算に合わせて選ぶと良いでしょう。
大容量 1,000Wh 以上
大容量のポータブル電源は、主に以下のような用途に向いています。
- アウトドア活動やキャンプ、釣りなどでの長期間の電源確保
- 車中泊やRVでの電源確保
- 災害時の備えとして、必要な電力を確保するため
Jackery(ジャクリ)Explorer 1000 PRO
- 参考価格:178,600円
- サイズ・重量:約340×262×255㎜ 11.5㎏
- 容量:1002Wh
- 定格出力:1,000W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×3 USB-A×1 USB-C×2 シガーソケット×1
- 充電時間:AC充電 約1.8時間
- 充電速度が速い
- AC出力、USBポートを搭載しており、多数のデバイスを充電可能。
- 短絡、過充電、過放電、過熱などの安全機能が搭載されており、安全な使用ができます。
EcoFlow (エコフロー)DELTA Max 1600
- 参考価格:187,000円
- サイズ・重量:約497×242×305㎜ 22㎏
- 容量:1612Wh
- 定格出力:最大出力2,400W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×6 USB-A×2 USB-C×2 DC5521×2 USB-A急速充電 x2
- 充電時間:約2時間
- 1600Whの大容量バッテリーを搭載。
- AC出力、USBポート、DC出力など、様々なポートを搭載。
- 満充電が2時間、とても速い。
- ACアダプターからの充電に加え、太陽光パネルからの充電にも対応。
EENOUR P2001
- 参考価格:299,990円
- サイズ・重量:約394×279×330㎜ 22㎏
- 容量:2,000Wh
- 定格出力:2,000W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×6 USB-A×4 USB-C×2 DC5521出力x2 シガーソケットx1 XT60出力x1
- 充電時間:約1.5時間
- 大容量の625,600mAh のバッテリーが搭載されており、一度の充電で多数のデバイスを充電することが可能
- ACコンセントやUSBポートなどの充電ポートが複数搭載されており、様々なデバイスに対応。
- LEDライトが搭載されており、緊急時にはライトとして使用可能。
Anker(アンカー) 757 Portable Power
- 参考価格:169,900円
- サイズ・重量:約463 × 288 × 237mm 約19.9kg
- 容量:1229Wh
- 定格出力:最大1500W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×6 USB-A×4 USB-C×2 シガーソケット×1
- 充電時間:約1.5時間
- 非常にコンパクトなため、持ち運びが簡単。
- 6,700mAhの大容量バッテリーを搭載。
- 一般的のポータブル電源バッテリーより約6倍長持ち。
FOSSIBOT F2400
- 参考価格:149,995円
- サイズ・重量:約386× 284× 321mm 約22kg
- 容量:2048Wh
- 定格出力:最大2400W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×6 USB-A×2 USB-C×4 DC5521×2 TX-60×1
- 充電時間:約1.5時間
- コンパクトなため、収納が容易。
- コード類の収納スペースがある。
- 充電速度を変えられる。
JVC(ケンウッド) BN-RB10-C
- 参考価格:340,000円
- サイズ・重量:約333×244×234mm 約10.9kg
- 容量:1,002Wh
- 定格出力:1,000W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×3 USB-C×2 DC12V×1 USB-A×2 シガーソケット×1
- 充電時間:AC充電 約7.5時間
- 国内家電メーカー「JVC」が手がけるポータブル電源、商品に対する信頼度は高いです。
- 8台同時に充給電が可能
comcon (コムコン)CB-P200
- 参考価格:265,000円
- サイズ・重量:392×279×323㎜ 22㎏
- 容量:2028Wh
- 定格出力:2,000W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×6 USB-A×2 USB-C×2 DC×2 シガーソケット×1 XT60×1
- 充電時間:AC充電 約2時間
- 使用状況が一目でわかるLEDパネル
- 充電サイクルは3500回以上。極めて高い安全性と耐久性。
- 最短1.5時間で満充電可能。
- 蓄電量が余裕なため、エンジンをかけずに車中泊可能。
コンパクト・軽量
コンパクト・軽量なポータブル電源は、以下のようなメリットがあります。
- 持ち運びやすいため、アウトドアや旅行などでの利用に便利
- 電源が必要な場所で手軽に利用できるため、作業やスマートフォン・タブレット端末の充電などに便利。
- 小型であるため置く場所を選ばない、場所に制約されずに利用できる。
BLUETTI EB70S
- 参考価格:79,800円
- サイズ・重量:約320×217×222mm 約9.7kg
- 容量:716Wh
- 定格出力:最大800W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×4 USB-A×2 DC12V×2 USB-C×2
- 充電時間:最速フル充電 約4時間
- 様々なデバイスに対応する多機能なポートを搭載。
- 持ち運びに便利なコンパクトサイズ。
- ワイヤレス充電可能。
- 手ごろな価格
Evopow 1000
- 参考価格:64,900円
- サイズ・重量:330×244×245㎜ 10㎏
- 容量:940Wh
- 定格出力:1,000W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×3 USB-A×3 USB-C×1 DC×2 シガーソケット×1
- 充電時間:AC充電 約11時間 ソーラーパネル100wを2枚並列接続し(2枚フル充電で約6時間)
- 充電しながら給電できる。ソーラー充電で環境にやさしい
- シングルポートでの同時充電の2倍のスピードでモバイルパワーを充電
- 重さは約10kgで、外出先にも持ち運びやすい
Owltech(オウルテック) OWL-LPBL52501-GM
- 参考価格:110,000円
- サイズ・重量:120×120×206㎜ 2.5㎏
- 容量:189Wh
- 定格出力:AC100V(250W)
- 波形: ー
- ポート種類:AC×1 USB-A×3 USB-C×1 DC×1
- 充電時間:AC充電 約4時間
- 女性でも片手で持てる重さ2.5kgでコンパクト。
- 神奈川県海老名市ふるさと納税返礼品
Baldr 330W
- 参考価格:70,981円
- サイズ・重量:230×168×178㎜ 3.9㎏
- 容量:288Wh
- 定格出力:330W
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×1 USB×3 USB-PD×1 DC×2 シガーソケット×1
- 充電時間:DC充電 約6時間
- コンパクト・軽量、持ち運びや収納スペースに困らない。
- 小型の割にまあまあの容量。
ONE STEP (ワンステップ)
- 参考価格:21,980円
- サイズ・重量:254×148×148㎜ 3.2㎏
- 容量:287Wh
- 定格出力:300W(ピーク400W)
- 波形:純正弦波
- ポート種類:AC×1 USB×2 USB-C×1 DC×2
- 充電時間: 約6時間
- 小型の割にポート種類が豊富
- 軽量・コンパクト、持ち運び便利
ポータブル電源の今後
ポータブル電源は、携帯性と利便性が高く、多くの人々が必要とする機能を提供するため、今後ますます需要が増えると予想されます。今後の改善点として、以下の5項目を希望します。
- ポータブル電源の一番の問題点は、バッテリー容量の限界です。今後、より効率的なバッテリー技術の開発により、より高い容量のバッテリーがポータブル電源に搭載されることを期待します。
- ポータブル電源の一番の魅力は、持ち運びやすさです。今後、より小型化、軽量化が進み、ポータブル電源がますますコンパクトになり、持ち運びが容易になることを期待します。
- 災害時の備えとして、ポータブル電源がより一般的になることが予想されます。政府や自治体がポータブル電源の普及を支援する取り組みが進められることで、ポータブル電源が防災対策の必須アイテムとして定着することを期待します。
- エコロジーな生活に関心を持つ人々が増えるにつれ、ソーラー充電が普及していくことが期待されます。太陽光発電技術の進歩により、より高効率な太陽電池がポータブル電源に搭載されることで、よりエコロジカルなポータブル電源が普及することを期待します。
- ポータブル電源には、AI技術を活用して、より効率的なエネルギー管理ができるようになることを期待します。