【温暖化対策】地熱発電は持続可能なクリーンエネルギー。

エネルギー

地熱発電は、現代のエネルギー需要に対する持続可能な解決策の一つとして注目されています。地球内部の熱エネルギーを利用するこの技術は、環境への負荷を最小限に抑えつつ、安定した電力供給を実現する可能性を秘めています。

しかし、地熱発電にもいくつかの課題が存在します。適した地域にしか設置できない、高コストな建設および維持費、地下水の枯渇などがその例です。これらの課題を克服するためには、技術の進歩と適切な政策が必要です。技術の進歩により、より効率的で経済的な地熱発電システムの開発が進んでいます。また、地熱発電の適地選定や環境への影響を最小限に抑えるための研究も進行中です。

地熱発電とは

地熱発電施設写真

地熱発電とは、地下深くにある高温の岩石や水蒸気を利用して、発電することを指します。地球内部は非常に高温であり、地下深くには高温の岩石やマグマが存在します。この高温を利用して水を沸騰させ、発生した水蒸気でタービンを回し発電を行います。また、地下水を直接利用して発電する方法もあります。

地熱発電は、再生可能エネルギーであり、一定量の地熱資源がある場所では安定した発電が可能です。また、火力発電と比較して、CO2などの温室効果ガスを排出することがないため、環境負荷が低いとされています。ただし、地熱資源がある場所が限られているため、設置可能な地域には限りがあります。

活火山には深さ数キロ~数十キロ付近にマグマ溜まりがあり、約1000℃の高温で周囲の岩石を熱してます。

そのマグマ溜まりに雨水が長い時間をかけて浸透し近き、マグマ溜まりの熱により加熱され、水は高温の熱水や蒸気となり、岩盤の下や隙間に溜まります。

一連のサイクルで溜まった熱水や蒸気の層を「地熱貯留層」といいます。

その「地熱貯留層」の熱エネルギーを利用して発電することを地熱発電といいます。

地熱発電・仕組み

地熱発電の仕組みは以下の通りです。

  1. 地下深くにある高温の岩石や水蒸気を掘り当てる

地熱発電を行うには、地下深くにある高温の岩石や水蒸気を掘り当てる必要があります。これは掘削によって行われます。

  1. 地下の高温水を引き上げる

岩石や水蒸気を掘り当てたら、次に地下から高温水を引き上げます。

  1. 地下水を蒸気に変える

地下水を蒸気に変えるために、引き上げた高温水をボイラーに送ります。ボイラーで水をさらに加熱し、蒸気を発生させます。

  1. 蒸気でタービンを回す

発生した蒸気をタービンに送り、タービンを回します。この過程で、蒸気のエネルギーを回転エネルギーに変換します。

  1. 発電機で電気を発生させる

タービンが回転することで、発電機も回転します。発電機によって回転エネルギーが電気に変換され、電気を発生させます。

  1. 発電された電気を送電線で送る

最後に、発電された電気を送電線を通じて送ります。送電線を通じて、発電所で発電された電気を都市部などへ送り、利用することができます。

以上が、地熱発電の基本的な仕組みです。このように地下の高温水や蒸気を利用することで、再生可能なエネルギー源から電気を発生させることができます。

地熱発電、フラッシュ方式とバイナリー方式

地熱発電には複数の方式がありますが、実用化されている一般的な方式として、フラッシュ方式とバイナリー方式の2種類あります。

フラッシュ方式

地熱貯留層にある約200~350℃に蒸気や熱水を汲み上げて、それを汽水分離器で蒸気と熱水に分離します。熱水は地下に戻し、蒸気はタービンに送って発電を行います。

バイナリー方式

80~150℃の中高温熱水や蒸気を熱源にして、水よりも低沸点の媒体を加熱させ、その蒸気でタービンを回して発電します。加熱源系統と媒体系統の2つの熱サイクルを利用して発電することから、バイナリーサイクル発電とも呼ばれています。

地熱発電の主流はバイナリー方式

地熱発電バイナリー方式解説図
引用:資源エネルギー庁

地熱貯留層の温度や圧力が低く、汲みだした蒸気や熱水が150℃より低い温度の場合、フラッシュ方式では発電することが出来ないため、低沸点媒体の蒸気でタービンを回すバイナリー方式を採用することにより、150℃より低い蒸気や熱水を利用して発電することができます。

バイナリー方式は、海外において1980年代から商用運転が始まり、既に数多くの発電所が建設されています。

地熱貯留層から汲みだした蒸気・熱水の温度が低くても利用できるため、地熱開発の対象地域を広げることができ、今後、日本を含め世界各国で普及することが期待されています。

地熱発電・特徴

地熱発電の特徴は以下の通りです。

  1. 再生可能エネルギーである

地熱発電は、地球内部から放出される熱エネルギーを利用するため、再生可能エネルギーとされています。また、地球内部には常に熱エネルギーが蓄積されているため、安定した発電が可能です。

  1. 環境負荷が低い

地熱発電は、化石燃料を燃焼させて発電する火力発電と比較して、温室効果ガスなどの大気汚染物質を排出しないため、環境負荷が低いとされています。

  1. 安定した電力供給が可能

地熱発電は、地球内部から放出される熱エネルギーを利用するため、発電量が風力発電や太陽光発電のように気象条件に左右されないため、安定した電力供給が可能です。

  1. 地域限定である

地熱発電は、発電に必要な地熱資源が限られた地域でしか行うことができません。そのため、地熱資源が豊富な国や地域において、有効な発電手段とされています。

  1. 開発コストが高い

地熱発電は、地下深くにある地熱資源を掘り起こすための掘削コストや、地下水の汲み上げや蒸気発生に必要な設備投資などの開発コストが高く、初期投資が必要です。

地熱発電は、CО₂ををほとんど排出しないクリーンなエネルギー、他国に頼らない純国産エネルギー、半永久的に安定して利用可能なエネルギー、などの特徴を備えています。

さらに、地熱発電の場合は熱エネルギーを利用することから、出力が不安定な太陽光発電や風力発電とは異なり、季節、天候、昼夜を問わずに安定して供給することが可能です。

また、地熱発電は初期投資は高いものの、運転のための燃料を必要としないため、ランニングコストが低いのが特徴、設備の減価償却が終わった後、低い発電コストで電力供給が可能です。

以上が、地熱発電の特徴です。再生可能エネルギーであり、環境負荷が低いことや安定した電力供給が可能なことがメリットとして挙げられますが、地域限定であり、開発コストが高いという課題もあります。

地熱発電これからの課題

地熱発電これからの課題

地熱発電にはいくつかの課題が存在します。まず、地熱資源は地域によって限られており、高温の地熱水や蒸気が十分に利用できる地域に制約があります。また、地熱発電所の建設には高度な技術と費用が必要であり、その設置場所や地下の地熱資源の探査が難しいこともあります。

さらに、地熱発電所の運用に伴う地下水や地域の地質への影響や熱水の排出による環境への影響も懸念されています。これらの課題を解決するためには、より効率的な地熱発電技術の開発や環境保全への配慮が求められます

地熱発電、長期商業運転

下写真は松川地熱発電所、1966年に稼働をはじめて55年間、商業運転を続けています。

松川地熱発電所の写真
  • 松川地熱発電 事業者:東北自然エネルギー 住所地:岩手県八幡市
  • 認可出力(2021年12月):23.500㎾ ドライスチーム方式
  • 運転開始:1966年10月 冷却塔:自然通風式

地熱発電は各地で開発が進められている

  • 秋田県湯沢市の蝸牛山の中腹において「かたつむり山発電所(仮称)」の開発が進行中。発電設備(ダブルフラッシュ方式)の出力は14.990㎾、2021年4月から工事を開始、2025年10月に運転を開始。
  • 岩手県八幡平市において「安比地熱発電所(仮称)」の開発計画が進行中。2024年4月に営業運転の開始予定。

地熱発電・課題

地熱発電全体写真

前述の通り、地熱発電の導入拡大に向けた課題として、開発リスクが高いこと、立地上クリヤすべき問題が多いこと、系統接続が難しい場合があることなどがあげられます。

開発リスク

地熱発電の開発リスクとしては、開発に着手してから商業運転までに数十年が必要ということです。調査、堀削などに伴う費用コストもあげられます。また地熱発電の候補地域は温泉施設や、国立・国定公園のなかにあることが多く、それに伴う関係法令や諸規制による制限を受けることがあります。

そのほか、温泉事業者や環境保護団体などによる、環境破壊や景観破壊を理由に反対運動が起きます。地元関係者の同意なしでは、計画を進められないため、説得や調整に難航します。

系統接続の問題

地熱発電は、発電量が比較的安定しているため、電力系統において需要と供給をバランスさせる役割を果たすことができます。しかし、地熱発電を電力系統に接続する際には、以下のような問題が生じることがあります。

  1. 電力系統の安定性

地熱発電が発電量を安定して供給するため、電力系統の安定性を保つためには、需要に応じて発電量を調整する必要があります。また、地熱発電が停止した場合には、代替の電力源を用意する必要があるため、電力系統の安定性に対する影響を考慮する必要があります。

  1. 接続費用

地熱発電を電力系統に接続するためには、専用の送電線や変電所を建設する必要があります。これらの設備にかかる接続費用が、発電所の建設費用に加えて必要になるため、コスト面での課題があります。

  1. 規制・認可の問題

地熱発電を電力系統に接続するためには、国や地域の法律や規制に従う必要があります。特に、送電線の建設に関する法規制が厳しい場合には、接続に関する問題が生じることがあります。

  1. 地域の特性

地域によっては、地熱発電を行うための地熱資源が限られている場合があります。また、地熱発電所の建設によって地域の景観が変わることがあるため、地域住民の反対や問題が生じることがあります。

以上が、地熱発電を電力系統に接続する際に生じる問題点です。これらの問題点を克服するためには、国や地域の政策や規制に加えて、発電所の設計や技術革新などが必要になります。

FIТ制度により地熱発電開発の進歩に期待

FIТ制度による地域で発電した電力の買取り保証、地熱資源調査に対する助成金の交付、国立・国定公園内の開発可能な地域を広げる規制緩和、などの政策により、地熱発電の開発進歩は徐々に進展しています。

FIТ制度とは

FIT制度とは、Feed-in Tariffの略称で、再生可能エネルギー発電の普及を促進するための政策手段の一つです。FIT制度では、再生可能エネルギー発電事業者に対して、固定された価格で電力を買い取ることを義務付け、発電事業の収益性を確保することができます。

FIT制度によって、再生可能エネルギーの発電事業に参入する企業や個人が増え、再生可能エネルギー発電量が増加しました。また、FIT制度によって、再生可能エネルギーの導入による社会的・環境的なメリットが実現されると期待されています。

FIT制度は、国や地域によって異なる制度があります。日本においては、2012年にFIT制度が導入され、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー発電に対して、20年間固定価格で買い取る制度が設けられました。その後、買い取り価格が引き下げられるなどの改正が行われています。

まとめ

昨今の地球温暖化による、豪雨、洪水、干ばつ、熱波、寒波などの自然災害が各地で発生。

地球温暖化の原因は二酸化炭素と言われています、その二酸化炭素産出量を減らすには、まずエネルギー問題解決は必要不可欠なのではないでしょうか。

しかし、エネルギー問題=環境問題なのは分かっているが、個人として何が出来るだろうか、と考えた結果出た答えが、まずはエネルギーのことを「知る」ということでした。再生可能エネルギーは今どのような状況なのか、これからどうなるのか、今後も継続して検証していきたいと思います。

この記事を書いた人
てつ

➤こんにちは「てつ」と申します。
➤神奈川県在住の50歳代の運転手です。
私は、長年にわたり運転手を続けてきましたが、交通事情や環境問題について深い関心があり、自分ができることを考えながら、日々の運転に取り組んでいます。
➤近年では環境問題に配慮した車両や燃料の使用も求められており、運転手は省エネやエコドライブなどの取り組みが重要です。
➤このブログでは、これまでの出来事や経験を記事で紹介しています。

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