緊急自動車には交通特例が存在し、その車両が素早く目的地に到達することができます。これは救急車、消防車、警察車両などが含まれます。緊急車両がスムーズに進むことは、負傷者の救助や火災の鎮火など、緊急の状況において非常に重要です。
一般的に、緊急車両は信号や標識を無視して通行することが許可されています。また、他の道路利用者はできる限り迅速に緊急車両に道を譲ることが求められています。道を譲ることは社会的な責任であり、緊急車両の優先通行が確保されることで、救急隊員や他の緊急サービスの専門家が迅速に対応でき、緊急の状況において時間が重要な要素となります。
緊急自動車は特例走行ができる
緊急自動車にはさまざまな特例が存在します。
- 停止義務:信号機による停止、踏切停止、一時停止標識での停止、横断歩道での横断者保護のための停止、すべて徐行して進むことができる。(道路交通法第39条1項)
- 追い越し禁止:追越し禁止区域で追越すことができる。(道路交通法第41条)
- 車両通行:右折・直進等の通行帯やバス専用レーンに制限されることなく通行できる。(道路交通法第41条)
- 道路標識:道路標識に従わなくてもよい。(道路交通法第41条)
緊急自動車とは事故や火災など、何らかの理由で緊急を要する業務で使用される自動車をいう、またこのような緊急自動車は、早く現場に到着できるように、法令に基づいて特別な走行(特例走行)が許されております。
緊急自動車であっても特例走行出来ない場合がある
緊急自動車であっても、特例的な走行ができない場合がいくつかあります。以下はその例です。
- 歩道通行の禁止: 緊急自動車でも歩道は歩行者専用の場所であるため、通行が禁止されています。
- 急ブレーキ禁止: 急ブレーキは後続車両に危険を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
- 車間距離の保持: 緊急自動車も車間距離を適切に保持することが求められています。
- 左側追越しの禁止: 左側での追越しは通常禁止されており、緊急自動車もこの規則を守る必要があります。
- 割り込み運転の禁止: 緊急自動車も他の車両への割り込みや無理な車線変更は避けなければなりません。
- 徐行場所での徐行: 徐行が求められる場所では、緊急自動車も徐行しなければなりません。
- 警音器標識による警音器の吹鳴: 警音器の使用には標識や信号に従う必要があります。
- 事故を起こした場合の措置(停止義務・救護義務あり): 緊急自動車も事故が発生した場合は停止し、必要に応じて救護措置を取る責任があります。
緊急自動車が接近した場合の対処法
緊急自動車が接近してきた場合は、以下のような対処法があります。
- 非常に慎重に運転し、道路の左側に寄せる。
- 追い越し車線にいる場合は、速やかに左側車線に移動する。
- 左側に寄せて止まり、車を降りる場合には、十分に周囲を確認してから車外に出る。
- 緊急車両の通過が完了するまで、エンジンをかけたまま停車し、ハザードランプを点灯する。
- 緊急自動車の進行を妨げると「緊急車妨害等違反」になるので注意。
これらの対処法を遵守し、周囲の安全に十分配慮することが重要です。また、緊急車両の通過中には、パニックに陥らず、冷静に対処することが大切です。
緊急自動車が接近した場合、「左側に寄って進路を譲る」が基本です。交差点の場合は避けて一時停止。
「交差点とその付近」
交差点又はその付近において、緊急自動車が接近してきたときは交差点を避け、道路の左側に寄って一時停止しなければならない。一方通行の場合も基本は左側に寄って一時停止ですが、左側に寄ることが緊急自動車の通行の妨げになる場合は右側に寄って一時停止します。(道路交通法第40条)
「それ以外の場所」
緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄って、これに進路を譲らなければならない。(道路交通法第40条2)
高速道路走行中の場合
高速道路走行中は「道路右側走行優先権」が認められている緊急自動車の走行を妨げにならないように、サイレンや赤色灯に気付いたら素早く追い越し車線から走行車線に戻りましょう。
当然ですが緊急自動車のあとを走って車両通行帯をまたいだり、ずっと追い越し車線を走り続けてたら交通違反です。
一般車両は交通ルールを厳守しなければなりません。詳しくは「高速道路 右側車線 を走り続けると「通行帯違反」の可能性があるってほんと?」で解説しています。
緊急自動車の保安基準
緊急自動車が緊急であることを、車両や歩行者など他の交通に示すものが必要。そのため警告灯やサイレンを備えています。(拡声器で協力を促すときもあります。)
警告灯やサイレンの装備
警告灯やサイレンは、緊急自動車が周囲の車両や人々に対して、緊急事態が発生していることを知らせるために使用されます。警告灯は、車両の上部や前面に取り付けられた回転灯やフラッシュ灯で、サイレンは、ホーンのような音を出す装置です。緊急自動車が警告灯やサイレンを使用すると、周囲の車両や人々は、緊急車両が接近していることを認識し、緊急車両の通行を優先することが求められます。
- 赤色のものであること
- 警光灯は,前方 300 メートルの距離からも点灯を確認できるものであること
- サイレンの音の大きさは,その自動車の前方約 20 メートルの位置において,90 デシベル以上 120 デシベル以下であること。
警告灯が赤い理由
警告灯が赤いのは、一般的に人間が注意を引きやすい明るい色であるためです。赤色は、目立つだけでなく、危険や注意を促すシンボルカラーとしても認識されています。そのため、赤い警告灯は、火災、ガス漏れ、地震などの緊急事態が発生した際に、人々にすばやく注意を促し、危険から避難するよう促すために使用されることが一般的です。また、一部の場合では、黄色や緑色などの色の警告灯も使用されますが、赤色が最も広く一般的に使用されている色の1つです。
人間の心理に影響を及ぼす「安全色」と言う色があり、赤は緊急をあらわす色です。
緊急自動車進路妨害
緊急自動車は負傷者を救急搬送している車両、命にかかわる場合もあります。そのような車両が接近した場合、素早く進路を譲る義務があります。
進路妨害した場合、交通違反になり違反点数は1点、反則金6,000円の行政処分。(悪質な場合は刑事処分を課せられます。)
反則金と違反点数
- 大型自動車:7,000円 違反点数1点
- 普通自動車:6,000円 ”
- 自動二輪車:6,000円 ”
- 小型特殊車:5,000円 ”
緊急自動車の種類
法律により、救急車、消防車、警察車両などの緊急車両が定められていて、これらの車両は交通法規に従い、通常の車両とは異なる特権を持ち、急行することができます。
思い浮かぶ緊急自動車といえば、救急者、消防車、パトカーですが、法令による緊急自動車はどのようなものがあるのでしょうか。主な緊急自動車を紹介。
法令で定める緊急自動車
主な緊急自動車には、救急車、消防車、警察車両、自衛隊の車両などがあります。救急車は病院に搬送するために、消防車は火災や災害現場に向かうために、警察車両は犯罪や事故現場に向かうために使用されます。自衛隊の車両は、災害や事故などの緊急時に支援するために使用されます。
- 救急自動車:国、都道府県、市町村、医療機関が負傷者搬送のために特別な構造を装備している車両
- 消防自動車:消防機関が消防のために必要な特別の構造を装置している車両
- パトカー:警察庁又は都道府県警察において使用する自動車をいう。犯罪の捜査、交通の取り締まりその他の警察の責務の遂行する車両
- 自衛隊用自動車:自衛隊の行動、部隊の運用のために使用する車両
- 白バイ:警察庁又は都道府県警察において使用する大型自動二輪車、交通の取り締まりその他の警察の責務の遂行する車両
- ドクターカー:医療機関が当該傷病者について必要な緊急の往診を行う医師を当該傷病者の居宅にまで搬送するために使用する自動車
- 緊急作業車:電気事業、ガス事業その他の公益事業において、危険防止のための応急作業に使用する自動車
まとめ
緊急自動車が迅速かつ安全に移動できることは、負傷者や緊急の状況にある人々の生命を守るために非常に重要です。交通特例や道路交通法の中には、緊急車両に対して優先権を与え、他の車が速やかに道を譲ることを奨励する規定が含まれています。
これは、緊急車両が迅速に事故現場や病院に到達できるようにするだけでなく、救急医療や消防活動が円滑に行われ、被害を最小限に食い止めるためにも重要です。適切な協力があれば、時間の短縮や円滑な通行が、救命のために致命的な違いを生むことがあります。
このような意識は社会全体で共有されるべきであり、運転者は緊急車両に対して迅速に反応し、道を譲ることで、緊急時の状況において最善の結果をもたらすことができます。