普段当たり前のように目にしている案内標識、その多彩な色分けには様々な理由が込められています。
一般道路が青、高速道路が緑、これらの色はただのランダムな選択ではありません。交通標識の色分けは、視覚的な認識と情報伝達の効果的な手段として設計されています。
今回は、意外に知られていない標識色の背後に潜む興味深い理由や歴史を探りながら、私たちの日常で見過ごされがちな標識の色に焦点を当ててみましょう。
高速道路は緑の理由
高速道路の案内標識に「緑」を使用したのはJIS規格(日本規格協会)と「カラーユニバーサルデザイン」が深く関わっています。
「緑」が人に及ぼす影響は、「安らぎ、癒し、調和、安定」とされていて、長時間の高速運転ストレスを緩和させるには、人間工学的に「緑」が最適とされています。
2018年JIS規格は「安全色」に関して策定の改正をしていて、世界に先駆けて「カラーユニバーサルデザイン」を採用しています。
一般の人と色の見え方が異なる人、先天的な色覚異常、白内障、緑内障などの人にも情報が伝わるように色使いを配慮し「赤」「黄赤」「緑」「青」「黄」「赤紫」の6色が規定され、この6色を引き立てる対比色として「白」「黒」が規定されています。
人間工学に基づいた「安全色」
人間工学とは、正しく効率的に動けるように周囲の人的、物的環境を整えて、事故、ミスを限りなく少なくする研究。
生理的な反応や変化などの生理学的側面のみならず、心理的な感情の変化などの研究もされていてます。
JIS規格は安全色を規定していますが、2018年人間工学に基づいたカラーユニバーサルデザインを取り入れています。
カラーユニバーサルデザインとは
色に対する感受性や認識は個人差があり、特に色弱者が多く存在する中で、私たちの社会はカラーユニバーサルデザインの概念を取り入れることが求められています。色弱者は、一般の人と比べて一部の色の見え方が異なるため、デザインや情報伝達において十分な配慮が必要です。
色弱者の中には、男性の20人に1人、女性の500人に1人と言われるような割合で存在し、その数は日本全体で300万人以上に上ります。これらの個々の色覚の違いに配慮することで、全ての人が情報を正確に受け取りやすくなり、社会の包括性が向上します。
こうした多様な色覚を持つ人々に対して、カラーユニバーサルデザインが取り入れられることで、デザインや情報のアクセシビリティが向上し、より多くの人々が円滑に社会との交流を楽しむことができるようになります。
「安全色」主な用途
- 【赤】放火、禁止、停止、不可、危険、緊急
- 【黄赤】警告、航空、船舶
- 【黄】注意、警告
- 【緑】安全状態、進行
- 【青】進行支持、誘導
- 【赤紫】放射能
- 【白】赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫の対比色
- 【黒】赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫の対比色
案内標識の色は「標識令」で決められている
道路標識は「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令(昭和三十五年総理府・建設省令第三号)」標識色が細かく決められています。
道路標識の分類
昭和三十五年総理府・建設省令第三号に基づく道路標識に関する命令が存在し、その中で道路標識には本標識と補助標識が含まれ、本標識は案内標識、警戒標識、規制標識、指示標識に分類されています。
これは、交通の円滑な進行や安全確保のために設けられた規則であり、私たちの日常生活で欠かせない要素となっています。この令に基づく制定が、道路上の標識が効果的に役立つように計られている。
最後に
一般道路が青であり、高速道路が緑である標識の色分けには深い意味が込められています。この配色は、視覚的な認識と情報の迅速な伝達を目的としています。
この色分けは、ドライバーに対して瞬時に適切な情報を提供し、交通安全や効率的な運行を促進するための工夫として採用されています。標識色の背後に潜む配慮と合理性を理解することで、私たちの日常の移動がより安全で効率的になる一助となるでしょう。