コンクリート強度を鉄筋の組合わせで高める!頑丈な構造になる理由

コンクリート

皆さんご存じのとおりコンクリート構造物の中には高強度化のために、鉄筋が使われています。最近では、超高層マンション、高速道路連絡橋、天然ガス地下貯蔵タンクなど、大型コンクリート構造物が増えており、次々と建てられています。そうなると当然、高強度のコンクリートが求められ、それに対応して鉄筋も高強度化、太径化しています。

鉄筋(てっきん)は、コンクリート構造物の強度や耐久性を向上させるために使用される補強材料です。コンクリートは圧縮力に強い性質を持っていますが、引張力には弱く、割れやすい傾向があります。このような弱点を補うために、鉄筋をコンクリートに組み合わせることで、強度と耐久性を向上させることができます。

鉄筋コンクリートをつくる「鉄筋の配置」

鉄筋コンクリートをつくる「鉄筋の配置」

鉄筋コンクリートを作る際に、鉄筋の配置は非常に重要です。鉄筋はコンクリートに引っ張り強度を与えるため、適切に配置しないと、コンクリートの強度が低下する可能性があります。以下に、鉄筋の配置についての基本的な考え方を紹介します。

  • 引っ張り応力を受ける部分に鉄筋を配置する 鉄筋の主な役割は、コンクリートに引っ張り応力がかかった場合に、その応力を受け止めることです。そのため、引っ張り応力がかかる部分に鉄筋を配置する必要があります。例えば、梁や柱などの部材の上部には、鉄筋を密集して配置することが一般的です。
  • 鉄筋の間隔は規定に従う 鉄筋の配置においては、鉄筋の間隔も非常に重要です。一般的には、建築基準法や建築基準法施行令に規定された鉄筋の最小間隔を守るように配置することが求められます。これによって、コンクリートの強度を確保することができます。
  • 鉄筋の太さや種類は適切に選定する 鉄筋の太さや種類は、使用するコンクリートの強度や構造物の大きさや形状に応じて適切に選定する必要があります。鉄筋の太さが不足していると、コンクリートに対する引っ張り応力を受け止められなくなるため、鉄筋が断裂してしまう可能性があります。また、種類も選定する必要があり、強度や耐久性、曲げやすさなどの性質を考慮して選ぶようにしましょう。

以上のように、鉄筋コンクリートを作る際には、鉄筋の配置について慎重に考える必要があります。鉄筋をコンクリートに組み合わせることで、構造物の強度と耐久性が向上し、安定性が高まるという利点があるということです。このため、鉄筋は建築や土木工学において重要な役割を果たしています。

鉄筋コンクリートは、組み立てた鉄筋を型枠の中に置くことを「配筋」といいます。その型枠のなかにコンクリートを打ち込んでつくります。

コンクリート構造物の設計図には、鉄筋の配筋図があり、これに基づいて鉄筋加工図が作成されます。まず、鉄筋加工図によって鉄筋が切断され、曲げられます。この加工された鉄筋は現場へ運ばれ配置されます。

鉄筋が組みあがると、コンクリートの表面と鉄筋との距離(かぶり暑さ)が十分にとれているかどうか、コンクリートが隅々まで十分にいき渡るように相互の間隔がとれているか、鉄筋がしっかり固定されているか、などを点検します。

部材の一番外側の鉄筋に対するコンクリートのかぶり暑さは耐久性に影響します。また、鉄筋とコンクリートとの付着力は、鉄筋の定着長さに比例するので、所定の定着長さを確保することも大切です。

鉄筋コンクリートの強度を高める

高強度な鉄筋には直径40~50㎜の太径異形鉄筋を用いることで、過密な鉄筋の配置は避けれれますが、人力での配置は困難になります。そこで、鉄筋をあらかじめ組み立てヤードで柱、梁、壁、床などの部位ごとに組み立て、それをクレーンでつって型枠のなかに組み込む工法「鉄筋先組工法」、「プレファブ鉄筋工法」などで、工事全体をスムーズに進めます。

鉄筋の継手

鉄筋と鉄筋をつなぐ継手には、従来から行われてきた重ね継手に加えて、ガス圧接継手が広く採用されています。

継手解説図

重ね継手は鉄筋の応力を、その応力に応じた所定の長さを隣り合う鉄筋と重ねることで伝えるものです。ガス圧接継手は、直径30㎜程度の異形鉄筋どうしを突き合わせて加圧し、ガスで加熱して溶接するものです。

直径が40~50㎜の太径異形鉄筋では、ねじ鉄筋継手が用いられます。鉄筋の端部にねじを切り、同じく内部にねじを切ったカプラーと呼ぶ鞘管でねじ込んでつなぎます。ガス圧接継手は工費は安いものの、作業条件のよって品質が安定しません。

ねじ鉄筋継手は熟練を要せず、接合強度の信頼性は高いですが、工費が高いのが難点。

高強度の太径鉄筋を継ぐには、より信頼性の高い「エンクローズ溶接」や「フュラッシュバット溶接」が使われます。

  • 「フュラッシュバット溶接」は接合しようとする鉄筋を近づけ発生する火花で鉄筋の接合部を十分に熱したのち、急速に圧力をかけて接合します。

  • 「エンクローズ溶接」は接合しようとする鉄筋の間に8~20㎜の隙間を作り、溶接金属を溶け込ませて接続するものです。

鉄筋コンクリートをつくる「型枠のしくみ」

型枠組立写真

型枠は、フレッシュコンクリートを打ち込み、硬化させ、所定の形につくるためのもので、コンクリートに接するせき版と締めつけ材から構成されています。フレッシュコンクリートを打ち込み硬化するまで、型枠には、コンクリートの重量、側圧、作業による荷重などの力が加わります。

支保工は、型枠に作用するこれらの荷重を支え、地盤に伝えるもので、支柱、ビーム、足場などからなってます。

コンクリートを打ち込むときに型枠が動いたり、変形したりしないように、しっかりと固定します。型枠と支保工の組み立てが終わったら、いよいよフレッシュコンクリートを打ち込みます。そして、一定の養生期間を経て十分に硬化し、コンクリートの自重や作業による荷重で壊れない状態になったら、型枠を外します。

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鉄筋コンクリート型枠の種類

合板や鋼版などの一般的な型枠の他に、特殊な型枠として、打ち込み型枠や透水型枠などがあります。

打ち込み型枠は、磁器タイルなどを型枠に組み込んでおき、コンクリートを打ち込むことで一体化するものです。型枠には、仕上げ材が移動しないように保持する機能やコンクリートの圧力を支える機能が求められます。

この工法を用いると、打ち込むだけでコンクリートがタイルで仕上げられます。また、タイルと地下コンクリートとを一体化させることで、完成後にタイルが剥脱する恐れもなくなります。

一方、透水型枠は、余分な水分や気泡を外へ逃がす機能を持った型枠です。これを使うと、コンクリートの表面の水セメント比が低減され、コンクリートの強度が増加するとともに、密実で耐久性も向上します。

このほか、人手では組立てられないような大型パネルを、ユニットとしてあらかじめ組み立てておいて、クレーンで打ち込む場所につり込み、設置する方法もあります。

この大型型枠は、組み立ての手間を省き、型枠工の不足を補うために、生まれたもので、同じ形状の型枠を繰り返し使える場合に効果のある工法です。

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移動型枠

超高煙突、サイロ、電波塔、高い橋脚、超高層ビルのコアなどのように垂直方向に同一あるいは類似の平面が連続するときや、広い床や屋根、橋梁の路床のように水平に連続するときには移動型枠が使われます。

移動型枠は、①解体、②つり上げもしくは水平移動、➂組み立て固定、のサイクルを凝り返しながら、上方あるいは前方へ打ち込み作業を進めていく工法です。

型枠を標準化し大型化して、繰り返し転用することで、解体、移動、組み立てなどの作業を省人化、省力化することができます。

鉄筋コンクリートをつくる「打設」

鉄筋コンクリートをつくる「打設」

現場内で、フレッシュコンクリートを打ち込む場所まで運ぶにはいくつかの方法があります。そのうち、最も広く行われている方法がポンプによる圧送です。

コンクリートポンプでフレッシュコンクリートに圧力を加え、輸送管で打ち込み場所まで送り込み、筒先から型枠の中に流し込みます。

開発された当初はポンプは定置式でしたが、その後、トラックにポンプを搭載したコンクリートポンプ車が実用化され、優れた機動性で一気に普及しました。さらに輸送管を可動式にすることで、配管作業が省略化されました。

一般に用いられるポンプの圧送能力は、水平距離で600mていど垂直距離で100m程度で、圧送量は1時間当たり80m³程度です。

このほか、フレッシュコンクリートを打ち込み場所まで運ぶ方法としては、ローラーコンパクテッドダム工法があります。

この工法は、コンクリートダム工事や道路の舗装工事において、直接、アジテータ車が打ち込み場所まで運び、打ち込む方法です。

プレキャストコンクリート製造工場内では、型枠を床に並べ、天井クレーンにつるされたバケットからフレッシュコンクリートが打ち込まれます。

コンクリート打設ポイント

打設が始まると、型枠のなかのコンクリートは型枠が透明でないかぎり、見ることができません。硬化したコンクリートがよいコンクリートになるかどうかは、打設の善し悪しで決まるので、打設には十分配慮することが大切です。そのためには、以下の点に留意します。

  1. 型枠の中で材料が分離しないように、均質、均等に打ち込む
  2. 鉄筋や鉄骨の隙間や型枠の隅々までよく充填する。
  3. 空気が大きな気泡になったり、水の塊ができないように、密実に充填する。そのためには、フレッシュコンクリートの内部に振動する棒状のバイブレーターを挿入して、フレッシュコンクリートに直接振動を与え、締め固める。
  4. 一定の速度で連続して打ち込む。フレッシュコンクリートを流す速度が速すぎると、鉄筋や型枠に大きな負担がかかるので、速度は速すぎないようにコントロールする。

高い壁や柱、特に鋼管柱にコンクリートを充填するときは、上からでなく、最下部に開けた注入口からフレッシュコンクリートを圧入して上部まで充填することが行われます。

フレッシュコンクリートを連続して打ち込めない場合は、どうしても新旧の継ぎ目が出てしまいます。

この場合は、先に打ち込んだコンクリートの表面を処理してからモルタルを塗り、次のフレッシュコンクリートを打ち込みます。

参考:「図解 コンクリートがわかる本」

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最後に

鉄筋をコンクリートに組み合わせることは、建築や土木工学において重要な役割を果たしています。鉄筋はコンクリート構造物の強度と耐久性を向上させ、割れや破損を防ぐために使用されます。これにより、構造物は安定性を高め、長期にわたる使用に耐える耐久性を獲得します。鉄筋の適切な配置と施工は、建築物や構造物の安全性と信頼性を確保するために欠かせません。

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