地球温暖化は私たちが直面する最も重要な課題の一つです。持続可能な未来を築くためには、カーボンニュートラルと再生可能エネルギーが鍵となります。
カーボンニュートラルとは、活動による二酸化炭素(CO2)排出量をゼロにすることを指します。これには、排出量を減らす努力と、排出されたCO2を吸収・削減する方法が含まれ、カーボンニュートラルを実現するために欠かせない要素です。これらの取り組みを進めることで、地球温暖化対策が大きく前進します。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、人間の活動による二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を大気中から取り除くことで、実質的にゼロにすることです。これにより、地球温暖化の主要な原因である温室効果ガスの排出を大幅に削減し、気候変動の影響を緩和します。
再生可能エネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱など、自然のエネルギー源から得られるエネルギーを指し、化石燃料に頼らない持続可能なエネルギー供給を実現するための重要な要素であり、温室効果ガスの排出削減に貢献します。
日本政府は2050年までに温室効果ガス排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。
「排出を全体としてゼロにする」の意味
二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量から、森林管理や植林などによる吸収量を差し引いて、実質的にゼロにすること。
製造や運搬、一般家庭などが使用する化石燃料に代えて再生可能エネルギーの使用を目指し、森林の管理、計画植林などによる吸収量を増やす環境を整えることです。
CО₂の排出
1750年頃に始まった産業革命以降、人間は石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やして使用するようになり、CО₂の排出量を急増させました。
加えて、森林の伐採や焼失による森林破壊によって、CО₂の吸収源である森林を減少させています。
温室効果ガスの役割
もともと温室効果ガスは地球の表面付近の平均気温を14℃程度に保つという、大切な役割(温室効果)を果たしています。仮に温室効果ガスが存在しない場合、地表面から放射された熱は大気を素通りして宇宙空間へ放出されるため、地球の表面付近の平均気温は-19℃に下がると推定されております。
気象変動問題
人為的な地球温暖化によって、気温の上昇や梅雨パターンの変化などの気象要素は影響を受け、熱波、豪雨、干ばつをはじめとして、さまざまな気象変動の問題を生じます。
気象の変動により、海面の水位、水環境、水資源、自然の生態系などの自然環境は大きな影響を受けます。
社会への影響
更に気象変動は私たちの社会にも大きな影響を及ぼします。作物の品質低下や栽培敵地の移動といった農林水産業への影響、高潮、台風による被害や河川洪水・土砂災害といった災害リスクの高まり、熱中症や感染症の増加といった健康への影響などがあげられます。
脱炭素化
脱炭素化とは、二酸化炭素や温室効果ガスの排出を削減し、地球温暖化の影響を軽減する取り組みです。具体的には、再生可能エネルギーの活用、省エネルギー技術の導入、エネルギーの効率的な利用、低炭素技術の開発などが含まれます。この取り組みは個人や企業だけでなく、国や国際社会レベルでも行われ、パリ協定に基づく温室効果ガス削減目標に向けた政策が進められています。
日本のおける2018年度の温室効果の排出量は12億4.000万トン(対前年比-3.9%)、2010年以降では、2013年度の14億1.000万トンをピークに減少が続いている。
CО₂の排出が温室効果ガス排出の92%。石油、石炭、天然ガス等の一次エネルギーを発電や石油精製などにより、産業、民生、運輸部門で消費される電力は2018年度CО₂排出量は11億3,800万トンでCО₂の排出が温室効果ガス排出の92%を占めることがわかります。
したがって、気象変動問題の解決に乗り出すのであれば、発電により排出されるCО₂をゼロにする「発電の脱炭素化」が課題となります。
脱炭素化する方法
脱炭素化は化石燃料に変わる再生可能エネルギーで実現。
再生可能エネルギーは、消費しても自然界の中で再び生産されるエネルギーであり、太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力等があげられます。再生エネルギーを用いた発電や地熱利用はCО₂の排出を伴わないため、気象変動対策に役立つエネルギーといえます。
再生可能エネルギーの定義
一般に、再生可能エネルギーとは、「消費しても自然界の中で再び生産され、使い切る心配のないエネルギーのこと」をいいます。
日本の法律では、2009年8月施行の「エネルギー供給構造高度化法」において、再生可能エネルギーを「太陽光、風力、その他の非化石エネルギーのうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」と定義しています。
再生可能エネルギーの種類
再生可能エネルギーの種類としては、太陽光、風力、バイオマス、地熱、水力、太陽熱、雪氷、温度差熱、地中熱、海流、潮流、波力、海洋温度差があげられます。
これらの再生可能エネルギーのうち、固定価格買取制度の対象になっているのは以下の5つになります。
固定価格買取制度とは
2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)がスタートしました。FIT制度の実施により、発電事業者は投資回収の見通しが立てやすくなり、再生エネルギーの導入拡大が大きく進みました。
事業者や一般家庭が再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定の期間、一定の価格で買い取ることを国が約束する制度のことです。
固定価格買取制度の仕組み
再生可能エネルギーで発電された電気は電力会社の送電線につないで、施設、事業所、住宅といった電気の利用先に送られます。
電力会社は再生可能エネルギー発電の事業者から電気を買い取り、代金を支払います。その買取費用には、電気料金に上乗せして徴収された再生可能エネルギー賦課金が充てられます。つまり電気を利用する企業や家庭が買取費用を負担することになるのです。
まとめ
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を削減し、吸収と相殺することで、実質的に排出ゼロを目指す概念で、気候変動への対策として重要視されています。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスといった再生可能エネルギーは、持続可能な社会を構築するための鍵となる技術です。
参考:「今村雅人著・再生可能エネルギーの仕組みと動向がよ~くわかる本」