メタンハイドレートの日本近海埋蔵量は天然ガス換算で100年分以上

エネルギー

日本のエネルギー自給率は2020年度時点でわずか11.8%と、先進国の中でも極めて低い水準にあります。エネルギー資源の大部分を輸入に依存している現状は、地政学的リスクやエネルギー価格の変動に対する脆弱性を抱えています。

そんな中、日本が注目しているのが「メタンハイドレート」という新たなエネルギー資源です。この物質は、天然ガスの主成分であるメタンが水分子と結合して氷のような固体になったものです。日本近海、特に渥美半島沖では、世界に先駆けて試験採掘が行われており、今後のエネルギー戦略の鍵として期待されています。

メタンハイドレートとは

メタンハイドレートとは

メタンハイドレートはメタンガス(CH₄)と水(H₂О)が結合してできた結晶で、高圧と低温の条件下で形成されます。

シャーベットのような白い物体で「燃える氷」とも呼ばれます。火をつけると青白い炎と熱を発して燃え、燃えたあとには二酸化炭素と水蒸気が残ります。

メタンハイドレートは、エネルギー源として利用されることがありますが、地球温暖化や環境問題としての懸念もあります。メタンハイドレートを加熱して分解すると、大量のメタンが放出されるためです。

特徴

  • メタンハイドレートは、高圧と低温の条件下で形成されます。これらの条件が変化すると、メタンハイドレートは分解します。
  • メタンハイドレートは、大量のエネルギーを含んでいて、このエネルギーは、燃料として利用することができます。
  • メタンハイドレートを加熱して分解すると、大量のメタンが放出されます。このメタンは、温室効果ガスとして大気中に存在し、温暖化の原因となります。
  • メタンハイドレートは、主に海底に存在します。これらは、大量に存在するため、エネルギー源として利用される潜在能力があります。
  • メタンハイドレートは、海底に存在するため、採掘することが困難とされていて、メタンハイドレートの採掘・利用には特別な技術や設備が必要です。

メタンハイドレートには、燃やした場合のCО₂の排出量が石炭や石油に比べて30%程度少なくなるという特徴があります。天然ガスの一種であるメタンハイドレートはエネルギー源として利用されることがありますが、地球温暖化や環境問題としての懸念もあります。

日本近海の埋蔵域

メタンハイドレートが生成蓄積するためにはある程度の低温と、ある程度の圧力が必要といわれ、その条件を満たしているのが海底500m~1000mの地点、大陸棚の端のあたりといわれ、まさしく日本が位置している周辺です。

埋蔵量は膨大で日本近海だけでも天然ガス換算で100年分以上あると推測されていて、高圧下でありながら、凍った水分子の篭状の結晶構造に封じ込められているのです。

メタンハイドレートの回収

メタンハイドレートの回収方法として、地層の温度を上昇させ、溶解させたメタンハイドレートを回収する「加熱法」や、地層の圧力を低下させてメタンハイドレートを溶解させる「減圧法」があり、いずれの方法も解決しなければならない問題が存在、まだ確立には至ってない。

極寒凍土域や深海の泥や砂に存在するメタンハイドレート、回収方法の研究は困難を極めるもので、総額500億円の費用を費やした現在も商業化されていないのです。

メタンハイドレートと地球温暖化

メタンハイドレートと地球温暖化

メタンハイドレート開発によって地球温暖化に及ぼす悪影響を指摘する意見も・・

メタンハイドレートは、地球温暖化の原因となる可能性があります。

これは、メタンハイドレートを加熱して分解すると、大量のメタンが放出されるためです。メタンは温室効果ガスとして大気中に存在していて、太陽からの入射を反射しないため、大気中の温度を上昇させ、これにより地球温暖化が進行すると言われています。

一方で、メタンハイドレートは、大量のエネルギーを含んでいます。このエネルギーは、燃料として利用することができます。このため、メタンハイドレートは、自然ガスや石油などの石油化学製品に代わる新しいエネルギー源として期待されています。

しかし、メタンハイドレートの採掘・利用により、大量のメタンが大気中に放出されることが予想され、これにより地球温暖化が進行する原因となることが懸念されています。そのためメタンハイドレートの採掘・利用には、環境影響の観点から細心の検討が必要です。

一方ではこんな意見も

大気中のメタンは二酸化炭素の20倍超もの温室効果があると言われており、メタンハイドレートは海流の変化や海水温の上昇で、放置したままでも、自然にメタンは大気中に放出されるといいます。そのため、積極的に開発し、利用して温暖化効果を制御するべきだとする意見もあります。

しかし一方では、開発によって回収しきれないメタンが、大気中に放出され気象変動に大きな影響をもたらす可能性を警告する意見や、すでに開発途中である現段階では、開発せずに放置した場合の弊害のほうが大きいとの意見も。

メタンハイドレートは化石燃料

メタンハイドレートは化石燃料の一種であるため、再生可能エネルギーには含まれない。

化石燃料といえば一般に、石炭、石油、天然ガスと理解されています。最近では新たな資源が登場したり、そもそも石油は化石由来ではないという説も登場してます。

化石燃料の一番の特徴は資源量に限りがあるということです。以前は石炭や石油、天然ガスなどが化石燃料にあたるものでしたが、今ではメタンハイドレート(天然ガス)、シェールガス(天然ガス)、シェールオイル(石油)、コールベッドメタン(天然ガス)、など新しい物が加わってます。

メタンハイドレートの必要性

メタンハイドレートの必要性

再生可能エネルギーが主力電源になったとしても、太陽光風力出力変動を調整するために火力発電は残す必要があります。その火力発電の燃料としてメタンハイドレートを利用することで、CО₂の排出を低く抑えることができます。

メタンハイドレートには、燃やした場合のCО₂の排出量が石油や石炭に比べて、30%程度少なくなるという特徴があります。

従来の石油や石炭に代えてメタンハイドレートを使用することで「脱炭素」に貢献できます。

出力変動の調整とは

エネルギー出力変動の調整とは、エネルギー需要に合わせてエネルギー出力を調整することを指します。これは、例えば、発電所などから出力されるエネルギーを消費者の需要に合わせて調整することを指します。

エネルギー需要は一日中変動するため、エネルギー出力もこれに合わせて変動する必要があります。例えば、朝には朝食の準備や家電の使用などによって需要が高まり、夜には寝るために家電の使用が減るなど、需要が時間帯によって大きく変動します。このような需要の変動に合わせて、エネルギー出力も調整されることが大切です。

エネルギー出力変動の調整には、様々な手法があります。例えば、発電所などから出力されるエネルギーを監視することで、需要の変動に合わせて出力を調整することができます。また、太陽光や風力などの再生可能エネルギー源からの出力も需要に合わせて変動することができます。

エネルギー出力変動の調整は、エネルギー需要と供給のバランスを保つことができるため、エネルギーシステムの安定的な運用に寄与します。また、効率的なエネルギー使用にも寄与するため、環境保全にも寄与することが期待されます。

安定供給のためには

メタンハイドレートの安定供給を確保するためには、次のようなことが重要と言われています。

  • メタンハイドレートを含む地層を確実に発見し、開発することが大切、調査には地質学的手法や地球物理学的手法などが用いられます。
  • メタンハイドレートを効率的かつ安全に採掘するための技術の開発が必要、これには、採掘方法、分離方法、環境影響の低減技術などが含まれる。
  • メタンハイドレートを採掘して生産するためには、適切なインフラが必要、これには、採掘場、パイプライン、タンクターミナル、加工施設などが含まれます。
  • メタンハイドレートの採掘・生産によって生じる環境影響に対応するための体制を整備することが大切、排出ガスの規制、地質学的環境保全措置、地域社会との調整など。

メタンの起源

メタンは天然ガスの一種で、地球上に存在する主要な化学物質の一つです。メタンは、植物の分解物、動物の排泄物、地球内部に存在する石油や炭鉱などから産生されます。

メタンの起源には2つの説があります。一つは生物学的説で、メタンは細菌によって生成されるとされています。もう一つは地球化学的説で、地球内部の熱や圧力によって生成されるとされています。

実際には、メタンは両方の説から産生されています。例えば、環境に残留する有機物が細菌によって分解され、メタンが生成されます。一方、地球内部に存在する石油や天然ガスが採掘されると、メタンが放出されます。

結論として、メタンは複数の要因によって生成されていて、生物学的要因、地球化学的要因、技術的要因などが絡み合って、メタンのバランスがとられています。

最後に

経済産業省では、今後のメタンハイドレート開発事業の方向性として、「2023年度から2027年度までに民間企業が主導する商業化に向けたプロジェクトが開始されることを目指す」という目標の中で、可能な限り早期に成果が得られるよう技術開発等を推進。と中間評価 補足説明資料で発表しています。

メタンハイドレートの商業化に向けたプロジェクトを開始することは、社会にとっての大きなチャレンジとなります。

プロジェクトの成功には、技術的な課題の解決、市場の開拓、法的・規制的な課題の解決など、多層面からの取り組みが必要です。政府、学界、民間企業など、多様なアクターが協力して、メタンハイドレートの商業化に向けた道筋を確立することが大切です。

この記事を書いた人
てつ

➤こんにちは「てつ」と申します。
➤神奈川県在住
➤職業 運転手
長年運転手を続けているのですが、最近では交通事情や環境問題について深い関心を持つようになり、自分ができることを考えながら、日々の運転に取り組んでいます。
近年では環境問題に配慮した車両や燃料の使用も求められており、運転手は省エネやエコドライブなどの取り組みが重要です。
➤このブログでは、日常で気になったことや、これまでのさまざまな経験をもとに記事を作成し、皆さんに紹介しています。

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