コンクリートリサイクルの現状と課題!解体方法と再生利用

コンクリート

コンクリートは、現代社会において建築やインフラ構造物の主要な建材として広く使用されています。その耐久性と強度から、多くの建物や橋、道路などの構造物の基礎として重要な役割を果たしてきました。しかし、建築物や構造物が老朽化したり、改修や解体が必要になる場合、コンクリートの処理とリサイクルは重要な課題となります。

およそ100年の寿命を持つと言われるコンクリートですが、物理的な劣化や老朽化、社会の変動や立地環境の変動に伴い、その役割を果たせなくなったコンクリート建造物の多くが解体され、撤去されていきます。

年間何千万トンといわれるコンクリート建造物を解体するわけですが、どのような方法で解体され、どのように処分されるのでしょうか。

コンクリート塊リサイクル率

コンクリート塊を含む建設副産物

解体コンクリート塊の発生量は年間約7,900万トン、このうち約2,800万トンが路盤材や再生骨材などに利用され、残りは最終埋め立て処分されています。

大量に発生するコンクリート塊を含む建設副産物はいまだにリサイクル率が低く、その多くが埋め立て処分されていることになります。

コンクリート再生利用

コンクリートの再生

コンクリート再生利用は、廃棄物や古いコンクリートを再利用し、新しいコンクリート製品や構造物を作るプロセスを指します。このアプローチは、持続可能な建築やインフラストラクチャーの実現に向けた重要な取り組みです。

コンクリート再生利用の方法

  1. 【コンクリートの再生処理】廃棄物や解体されたコンクリートを収集し、特定のプロセスを経て再利用できる形に変換します。一般的な方法には、コンクリートの破砕や粉砕、選別、洗浄、再生処理などがあります。
  2. 【再生コンクリートの製造】再生処理を受けたコンクリートは、新しいコンクリート製品や構造物の製造に使用されます。再生コンクリートは、骨材やセメントの一部として使用されることが一般的です。この方法により、天然資源の使用を削減し、廃棄物の処理負荷を軽減することができます。
  3. 【コンクリートの劣化修復】既存のコンクリート構造物の劣化部分を再生コンクリートで修復することもあります。これにより、修復作業のコストや環境への影響を軽減することができます。

コンクリート再生利用の利点

  1. 【資源の節約】再生コンクリートの使用により、天然骨材やセメントの使用量を減らすことができます。これにより、鉱石の採掘や製造プロセスに伴うエネルギー消費とCO2排出量が削減されます。
  2. 【廃棄物削減】廃棄物コンクリートの再利用により、埋め立て地への廃棄物の送り込みを減らすことができます。これにより、廃棄物処理の負荷を軽減し、環境への影響を低減できます。
  3. 【CO2排出削減】再生コンクリートの使用は、製造プロセスにおけるエネルギー消費とCO2排出量を削減します。また、再生コンクリートの製造においては、セメントの代替材料として副産物や産業廃棄物を使用することもあります。これにより、セメント製造に関連するCO2排出量を減少させることができます。
  4. 【経済的な利益】コンクリート再生利用は、廃棄物処理費用を削減し、資源の再利用によるコスト削減が期待できます。また、再生コンクリート製品の需要も増加しており、市場機会を提供しています。
  5. 【持続可能な建築とインフラストラクチャー】コンクリート再生利用は、持続可能な建築やインフラストラクチャーの実現に向けた重要な手段です。資源の効果的な利用や廃棄物の削減は、環境への負荷を軽減し、将来の世代により持続可能な環境を提供します。

コンクリート再生利用にはいくつかの課題も存在します

  1. 【品質の制約】再生コンクリートの品質は、再生材料の品質や処理方法に大きく依存します。適切な品質管理と検査が必要です。
  2. 【技術的な課題】コンクリート再生利用のプロセスや技術の開発には継続的な研究と開発が必要です。特に、再生コンクリートの強度や耐久性などの性能を確保するための技術的な課題に対処する必要があります。
  3. 【規制と標準化】コンクリート再生利用の普及には、規制や標準化の整備が必要です。再生コンクリート製品の品質基準や規制に関するガイドラインが整備されることで、安定した市場環境が整えられます。

再生骨材

再生骨材についてはその品質が一定の水準を保つように、吸水率、安定性などについて品質目標が決められています。

そこでコンクリートの結合剤、骨材、混合剤に、再びセメント原料になる物質のみを用いて、解体されるコンクリートのセメント全量をセメント原料、再生骨材、混合材料とするアイデアが研究されています。

これが実現すれば、環境にまったく負荷をかけず、新たな資源を必要としない完全なリサイクルコンクリートが生まれることになります。

そのときには、建築や土木のコンクリート構造物そのものだけが、自らのセメント原料となり、骨材の供給源となるのです。

エネルギーサイクルの構築

成分調整、品質保持などをはじめ、型枠や補強材あるいは補強方法など工法も含めて多くの課題を抱えていますが、熱心に研究が進められています。

広く他の産業分野を含めて、コンクリートに関わる物質エネルギーのサイクルを新たに構築することで、コンクリートの特性をリデザインした新たな構造材料と構造原理が生まれるのではないでしょうか。

コンクリート解体方法

コンクリート解体写真

コンクリート解体は、解体対象の構造物の立地環境、劣化状況、建設時の工法などに応じて、異なる解体方法が使用されます。

静かに破砕

  1. 油圧ジャッキ破砕

あらかじめ削岩機やドリルであけた孔に、ウェッジを挿入し、油圧で押し広げ、コンクリートをはかいします。油圧ジャッキを使用した破砕は、効率的かつ正確な解体が可能であり、特に部分的な解体や制御された解体に適しています。

  1. 鉄筋への通電加熱による破砕

鉄筋を局部的に露出させ、鉄筋に低電圧、高電流の電気を流し、発熱により鉄筋を膨張させて膨張圧でコンクリートを破壊します。鉄筋への通電加熱による破砕は、特に厚いコンクリートや鉄筋の密集した部分の解体に有効です。加熱によって鉄筋が膨張し、周囲のコンクリートを破壊するため、破砕の制御が比較的容易です。

  1. 膨張剤の反応圧力による破壊

削岩ドリルでコンクリートに孔をあけて、中に膨張剤を充填した孔とカラの孔と交互に配置します。孔の径は40㎜~65㎜、深さは解体対象物の暑さの90%、間隔は径の6~10倍程度とします。膨張剤を水と反応させることで、体積が3倍になります。この膨張圧を利用します。

爆破

コンクリートの爆破は、大規模な解体や建物の取り壊しにおいて使用される解体手法の一つです。主に、山岳トンネルやダム工事などで岩盤を破壊するために使われています。

米国では、市街地での鉄筋コンクリート造ビルの解体に使われていますが、日本では耐震構造のため壁や鉄筋量が多く、ビル周辺の防護対策が困難なこともあり使われていません。

実施に当たっては、経験豊かな資格をもつ責任者のもとで、爆薬の選定、装薬の位置と量を入念に計算し、十分な安全対策の下で実施します。

衝撃や切断

  1. ブレーカー破壊

油圧や空気圧で駆動する大型のタガネによって、急激な衝撃を繰り返し加えてコンクリートを破壊する方法です。ブレーカーには、油圧ショベルの取り付ける大型ブレーカーと小型のハンドブレーカーがあります。

  1. ワイヤーソーイング切断

コンクリート部材に、切削用のダイヤモンドビーズを取り付けた長さ20~100㎜のワイヤーソーを巻き付けて、毎秒30mで高速回転させてコンクリートと鉄筋を切断します。ワイヤーを掛けることができれば、どのような大きさの部材でも切断でき、水中でも作業が可能です。

  1. ウオータージェット切断

研磨剤を加えた高圧水を、コンクリートや鉄筋に噴射して切断します。空気中、水中問わず、厚さ70㎝程度までのコンクリートを自由な形に切断でき、しかも、破砕しない部分への影響がありません。切断位置で粉塵と水を回収するので、空気を汚さず、振動もありません。唯一のデメリットは騒音が大きいことです。

  1. レーザー切断

レーザー発振器からでたレーザービームを、切断位置に絞り込んで照射し、コンクリートを高温で溶融します。騒音を出すことなく、鉄筋とコンクリートを同時に切断でき、遠隔操作も可能、解体時の騒音を避けたい病院やホテルの改修工事などの利用が見込まれています。

最後に

コンクリートは、現代の建築やインフラ構造物において主要な建材として使用されています。その耐久性と強度から、建物や橋、道路などの基礎として重要な役割を果たしています。しかし、老朽化や改修が必要になった場合、コンクリートの処理とリサイクルは重要な課題となります。リサイクルによって廃棄物を減らし、資源を有効活用する取り組みが進められています。将来的には、持続可能な建設産業の実現に向けた取り組みがますます重要になっています。

参考:「環境に優しいコンクリート」「コンクリートがわかる本」

この記事を書いた人
てつ

➤こんにちは「てつ」と申します。
➤神奈川県在住
➤職業 運転手
長年運転手を続けているのですが、最近では交通事情や環境問題について深い関心を持つようになり、自分ができることを考えながら、日々の運転に取り組んでいます。
近年では環境問題に配慮した車両や燃料の使用も求められており、運転手は省エネやエコドライブなどの取り組みが重要です。
➤このブログでは気になった事や、さまざまな経験を元に記事を作成し紹介しています。

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