料金を支払って利用する高速道路はどれも同じと思っている方は多いのではないでしょうか、じつは地域性や交通事情による目的の違いから首都高は高速道路とは異なる区分に分けられています。
多くの人が高速道路を同一視していますが、この違いについて具体的に紹介しましょう。
また、首都高には複数の環状線が存在し、それぞれ外回りと内回りが設定されています。この設計は、都心の複雑な道路構造に適したものであり、利用者は通行する方向に応じて使い分けることが出来ます。
高速道路とは
高速道路は、車両が高速で走行できるように設計された専用道路であり、一般的には長距離を迅速かつ効率的に移動するためのインフラストラクチャーとして整備されています。これらの道路は、通常、以下の特徴を持っています。
- 高速走行が可能な設計: 直線的な区間や緩やかなカーブが多く、交通の流れを妨げないように設計されています。これにより、車両は高速で安定して走行できます。
- 車線数の増加: 高速道路には通常、複数の車線があり、これによって車両の密度を分散させ、混雑を軽減します。
- 坂道や交差点の減少: 坂道や交差点が少ないため、車両は中断なく高速で進むことができます。
- 安全対策: 高速道路では、安全を確保するために様々な規制や制限が存在します。これには速度制限、車間距離の確保、安全な車両の保守などが含まれます。
- 有料道路: 多くの場合、高速道路は有料で利用されます。これにより、道路の維持管理や新規建設の資金調達が行われます。
日本の高速自動車国道や一部の高速道路は、これらの特徴を具備した典型的な高速道路の例です。高速道路は、効率的な輸送手段として、また長距離の移動を支援するための重要な要素となっています。
「首都高」が高速道路じゃない理由は自動車専用道路だから
「首都高」が高速道路じゃない理由は以下の通り。
日本の道路は「道路法第3条」により4種類に分けられています。①高速自動車国道、②一般国道、➂都道府県道、➃市町村道、その中で首都高速は①高速自動車国道に区分されている。
さらに高速自動車国道と一般国道自動車専用道路の2種類に分けられ、首都高速は一般国道自動車専用道路の区分に入ります。
目的の違い
そもそも高速自動車国道と一般国道自動車専用道路は目的が違います。
- 高速自動車国道(高速道路)の目的は「迅速な交通移動」
- 一般国道自動車専用道路(首都高)の目的は「安全・円滑な道路ネットワーク」
高速道路は迅速な交通移動を達成することを主目的にした道路であり主に自動車が高速かつ安全に走行できるような構造になっている。
対して首都高速は安全・円滑な道路ネットワークとあります。つまり首都高速は渋滞緩和が目的に作られ、高速道路は高速移動のために作られた道路なのです。
私たちは、首都圏のひと・まち・くらしを安全・円滑な首都高速道路ネットワークで結び、豊かで快適な社会の創造に貢献します。
引用:首都高速道路基本理念
首都高都心環状線「内回り」「外回り」を解説
首都高都心環状線とは東京都の千代田区、中央区、港区を環状に通る路線ですが、よく交通情報で耳にする「内回り」「外回り」を解説。
都心環状線は「皇居」を囲むように走っている路線、自分が今時計回りで走行している場合は「外回り」反時計回りに走行している場合は「内回り」ということです。
- 時計回り「外回り」
- 反時計回り「内回り」
全国の都市高速
都市高速は全国の都市圏6か所に存在(首都・名古屋・阪神・広島・北九州・福岡)高度経済成長が始まる1950年代後半になってから自動車の急増とともに交通渋滞が頻繫に発生、そこで首都高速は基本理念に基づいて、1963年(昭和38年)12月21日 : 本町 – 京橋 (1.9 km)、1号羽田線芝浦 – 鈴ヶ森 (6.4 km)、都心環状線呉服橋 – 江戸橋JCT (0.6 km) を開通させてから現在に至るまで路線延長337.8㎞を開通させています。(建設中の路線あり)
都市高速道路それぞれの開通や延長には高度経済成長期における自動車の急増や交通渋滞への対策が背景にあります。以下に、各都市圏ごとの都市高速道路について簡単に紹介します。
- 首都高速道路(東京・横浜)
- 1963年12月21日に1号羽田線などが開通し、以後東京や横浜を中心に多くの路線が整備され、首都圏の交通インフラを支えています。環状線や湾岸線など、多彩な路線が存在します。
- 名古屋高速道路
- 名古屋市内を中心に広がり、市街地へのアクセス向上を図っています。名古屋高速2号東海環状線や3号中部環状線などがあります。
- 阪神高速道路(大阪・神戸)
- 大阪市内や神戸市内など、大阪都市圏と神戸都市圏を結ぶ高速道路網です。多くの路線が存在し、都市内の移動を支援しています。
- 広島高速道路
- 広島市内を中心に整備されており、市街地や主要なエリアへのアクセスが向上しています。
- 北九州高速道路
- 北九州市内を中心に走る高速道路網で、市内各地へのアクセスが容易になっています。
- 福岡高速道路
- 福岡市内を中心に整備され、市内各地や周辺エリアへのアクセスが向上しています。
これらの都市高速道路は、それぞれの都市圏の発展や利便性向上を図るために整備され、交通インフラの一翼を担っています。現在も建設中の路線があることから、今後も都市の発展に合わせて拡充が進むことが期待されます。
「首都高」は登録商標されている
「首都高速」や「首都高」は首都高速道路株式会社の登録商標であり、全国にある都市高速道路でこの名称を使用できるのは関東圏都市高速道路(通称:首都高速)だけです。これは、首都圏(東京都および周辺の千葉県、神奈川県、埼玉県)において特有の呼称となっています。
他の地域では同様の高速道路が存在しますが、その地域ごとに異なる名称が使われています。例えば、大阪市周辺では「阪神高速道路」、名古屋市周辺では「名古屋高速道路」が該当します。各地域の都市高速道路は、地元の運営会社が名称を決定しており、その商標権や名称の使用権は異なります。
高速道路の最高速度
高速道路の最高速度は80㎞/h~100㎞/h(指定区間を除く)のに対して、首都高速は道路の性格が違うため、多くの区間で60㎞/h以下(一部区間を除く)になってます。多くは市街地に建設されている、首都高速は最高速度を60㎞/h以下にすることで騒音を抑える効果もあります。
ちなみに高速道路の最低速度は50㎞/h、首都高速の最低速度はありません。
自動車専用道路と高速道路の違い
自動車専用道路と高速道路の異なる点として自動車専用道路は最高速度・最低速度が一般道と同等であること、「道路標識等で指定が無い場合は60㎞/h(緊急自動車は80㎞/h)です。これに対して高速道路は100 km/hまたは80 km/h等となっている。」
自動車専用道路は自動車以外「歩行者・軽車両・125cc以下の小型自動二輪車・ミニカー・原動機付自転車・路面電車」は通行できない。本線上は駐停車禁止。
自動車専用の入り口にはこのような規制標識(案内標識は緑)が設置されていて標識下部の補助標識により法定最低速度制限および小型特殊自動車の通行禁止が示されます。
ちなみに高速自動車国道も自動車専用道路も「高速道路」と呼ばれていますが、自動車専用の道路の一種です。
都道府県による交通規制
道路交通法第4条に基づく都道府県公安委員会の権限により、自動車専用道路と同等の規制を行う場合、自動車専用道路標識ではなく規制標識が使用されます。
この規制には、高速道路における駐停車禁止などの規定は適用外であり、都道府県ごとに必要に応じて個別に駐停車禁止などの規制を設けることができます。
この制度は、通常の自動車専用道路とは異なり、都道府県が特定の道路において独自の規制を行うことができる仕組みです。
これにより、地域の交通事情や安全確保のために、都道府県が柔軟かつ適切な交通規制を実施できるようになります。
最後に
安全な道路利用には皆さんの協力が不可欠です。交通ルールを守り、他の利用者との思いやりある運転は、事故の防止だけでなく、共に道路を利用する全ての人々の安全を確保する大切な要素です。
安全な運転は個人のみならず、社会全体にとっても大きな影響を与えます。ルールを守り、互いに尊重し合い、協力することで、私たちはより安全で快適な道路環境を築くことができます。自分の運転に責任を持ち、周りの状況に気を配りながら、安全で円滑な移動を心がけましょう。