金属の種類、性質、金属の条件、そもそも金属って何?

お役立ち

金、銀、銅、プラチナ、鉄、鉛。これらの名前は私たちの日常に欠かせないものでありながら、その本質について深く理解しているでしょうか?金属は私たちの文化や技術、産業において不可欠な存在であり、その多様性と特異性は私たちを驚嘆させます。

ここでは、これらの金属が私たちの生活にどのように影響を与えているかを探ります。例えば、金はその希少性と美しさから装飾品として珍重され、また経済的価値を持つ資産としても重要、銀は導電性が高く、電気製品や医療機器に広く利用されています。

銅は優れた導電性と耐食性を持ち、配管や電線に使用されています。プラチナは触媒としての役割を果たし、工業プロセスや自動車の排ガス浄化装置に不可欠です。鉄はその強度と加工のしやすさから建築材料や工具として広く利用されています。鉛は放射線遮蔽材として医療分野で使用されます。

これらの金属は単なる物質ではなく、その原子構造や結合が織り成す微妙なバランスが、驚くべき特性を生み出しています。それが私たちの身の回りで幅広い形で表れ、美術品から工業製品まで、あらゆる分野で役立っています。これらの金属の特性とその利用方法を理解することは、現代社会を支える基盤を理解することにつながります。

金属元素とよばれるための3つ条件

  • 金属光沢がある
  • 展性・延性がある
  • 電気伝導性がある

どの条件も数値のない、定性的なものにすぎません。金属に「光沢がある」というのがわかりやすいかもしれません。また、「展性がある」というのは、叩いて箔にすることができる性質で、「延性」というのは針金にすることができることをいいます。

たとえば1gの金Auは、長さ2800mもの針金になりますし、箔にすれば1mmの1万分の1の厚さになり、透明で、透かすと外界が青緑色に見えます。

金属伝導性

鉄の線路写真

電流というのは電子の流れです。電子がA地点からB地点に移動したとき、電流がAからBに流れたということです。電子が移動しやすい物質は伝導度の高い良導体、移動しにくい物質は絶縁体、その中間が半導体とよばれます。

  • 良導体:電子が移動しやすい物質
  • 絶縁体:電子が移動しにくい物質
  • 半導体:良導体と絶縁体の中間の物質

個体の金属は、球状の金属イオンが整然と積み重なった結晶で、球と球のあいだは自由電子といわれる電子で満ちています。

電圧がかかると自由電子は金属イオンの脇をすり抜けるようにして移動します。このとき、金属イオンが動くとそれは伝導度を防げることになります。

金属イオンの動き、それは熱振動です。高温になると金属イオンの振動は激しくなり、電子は移動しにくくなるのです。

自由電子

自由電子とは、物質内で特定の原子間の結合に束縛されず自由に動き回れる電子のこと。金属結晶などには豊富に含まれるため電気をよく通す良導体となり、ゴムなどには含まれないため電気が流れない絶縁体となる。

金属超伝導性

金属で出来た塔の写真

ある温度(臨界点)になると、伝導度は突如無限大、電気抵抗は0になります。この状態を超伝導状態といいます。

超伝導状態では、電気抵抗がありませんから、コイルに発熱なしに大電流を流し続けることができます。超強力な電磁石を作ることができるのです。

このような電磁石を超伝導磁石といいます。

超伝導磁石は脳の断層写真を撮るМRIや、列車の車体を磁石の反発力で浮かして走るリニア新幹線にはなくてはならないものです。

問題は臨界点です。これは現在のところ、絶対温度で数度、つまり-270℃という極めて低温です。このような低温を作るためには液体ヘリウムが必須です。

ヘリウムは空気中にもわずかに含まれていますが、これを取り出すには膨大な電力が必要になります。そのため、もっぱらアメリカから輸入しているのが現実なのです。

金属をまぜあわせた合金

熔炉の写真

私たちの身のまわりにはさまざまな金属がありますが、純粋な金属はほとんどありません、そのほとんどが、いろいろな金属がまじった「合金」なのです。

金属の歴史

さかのぼること紀元前3500年、人類は金属とともに発展してきました。「石器時代」、「青銅器時代」、「鉄器時代」に世界史は分けられます。

人類が最初に用いた金属は青銅です。青銅は銅CuとスズSnの合金で、英語ではブロンズといいます。

鎌倉の大仏(銅比率69%)や奈良の大仏(銅比率90%)は青銅で作られているのは有名ですが、もともとチョコレート色にもかかわらずなぜ青銅「青い銅」と呼ばれるのでしょうか。

それは銅のさびである緑青ろくしょうが生じて青緑色に変化するからです。

大仏写真

銅の合金

殺菌作用がある銅はさまざま合金に使用されています。

銅と亜鉛の合金は真鍮、黄銅、吹奏楽の楽器や日本の貨幣(5円玉)に用いられています。

また、青銅の10円玉、白銅(銅+ニッケル)の100円玉、ニッケル黄銅(銅+亜鉛+ニッケル)の500円玉等々。

軽くて丈夫な金属

近年では航空機や自家用車の発展に伴ってより軽くて丈夫な金属が求められるようになりました。代表的なものとしてチタン合金があります。

また、マグネシウム合金(マグネシウムМg+アルミニウムAI+亜鉛Zn)に至っては航空機や自家用車のホイールなどに用いられています。

このほかにも、炭化タングステンWCをまぜた超硬合金(鉄+WC)、800~1100℃の高温に耐える超耐熱合金(鉄+コバルトⅭо+タングステンW)、反対に宇宙空間の超低温に耐えるマルエージ鋼(鉄+ニッケル+コバルト)など各種の合金が開発されてます。

両性金属

両性金属(両性元素)とは酸とも塩基とも反応する金属のこと、代表的な両性金属にアルミニウム、や亜鉛があり、その他にもスズ、鉛、などがあります。

  • アルミニウム(Al)
  • 亜鉛(Zn)
  • スズ(Sn)
  • 鉛(Pd)

アルミニウムは塩酸・水酸化ナトリウム水溶液と反応して塩に変わるまで水素を発生します。

金属や貴金属の性質

金属や貴金属の性質

一般に貴金属として思い浮かぶのは金、銀、プラチナ、ではないでしょうか。

ではこの金、銀、プラチナはどのような性質があるのでしょうか。

金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)は元素といい、酸化(イオン化)しにくく、いつまでもさびることはありません。(元素とはまじりけない純粋なものをいいます。)

貴金属の種類

酸化(イオン化)しにくい金属のことを貴金属といいます。その種類は金(Au)、銀(Ag)、プラチナ(Pt)、それとホワイトゴールド(白色金)このうちホワイトゴールドは元素ではなく、青銅や真鍮しんちゅうなどと同じ合金です。主体は金ですが、その他に銀、パラジウムpdなどがまじったおかげで白くみえます。

金の純度

金の写真

貴金属の代表格「金」は皆さんご存じだと思いますが、よく店頭などで見かける「18金」、「24金」の18や24、はどのような意味があるのでしょうか。

金Auはとてもやわらかい金属で、純金のままで宝飾品を作ると、使っているうちに衣服などに擦れ、輝きを失ってしまいます。そこで、他の金属をまぜて硬度を増します。

主に銀や銅をまぜます、金は純金のままだと、とても高価なため他の金属をまぜることで価格を下げる目的もあります。

金の純度を表す記号はKです。純金を24Kとし、標示は母数を24とした分数の子数で表します。したがって18K金の純度は24分の18で75%となります。

 24K18K14K10K
純度金100%金75%金58%金42%

ステンレスがさびない理由

1913年イギリスの冶金学者ハリーブレアリーによって発明された「ステンレス」、スチールに別の金属を加えてさびにくくした合金です。

ステンレスとはStain(さび)+lass(ない)という意味です。

高性能で知られる18‐8ステンレスはクロム18%、ニッケル8%、残りが鉄という合金で、クロムもニッケルも不動能を作りますが、ステンレスの場合には特にクロムが薄くて硬い不動能を作り、それ以上の酸化に抵抗します。

クロムの不動能の膜は非常に薄いのでほとんど透明であり、そのため内部の金属の金属光沢がそのまま見えるので、ステンレス特有の鋭い光沢のある美しい状態を保ち続けます。

不動能

金、銀、プラチナ、の貴金属を除いたほとんどの金属はさびます。

さびというのは金属が酸素と反応(酸化)、して生じたものですが、さびにも金属内部まで進行して朽ち果てるものと金属の表面にとどまって、内部に進行しないもの、の2種類あります。

金属の表面にとどまって、内部に進行しないものを不動能ふどうたいといいます。

酸化鉄

鉄Feは放っておくとさびてしまいます。酸素と結合してさびやすい金属だからです。

鉄は酸素と結合すると酸化鉄となります。酸化鉄は赤く一般に赤さびといわれ、表面が荒くどんどん広がっていき、最終的に鉄はボロボロに朽ちてしまいます。

鉄のさびにはもうひとつ四三酸化鉄という酸化物があります。このさびは黒いので一般に黒さびといわれます。

黒さびは表面が緻密で硬いので内部に広がることがなく、鉄の表面を保護します。このようなさびを不動能といいます。四三酸化鉄は自然に発生することはなく、鉄の表面を高温に熱したときに発生します。

金属は燃える

普通の生活では金属が燃える光景は稀です。金属が燃えることは、通常、高温で酸素が存在する条件下で起こります。一般的な家庭やオフィスなどの一般的な状況では、これらの条件が揃うことはほとんどありません。

金属の燃焼は、酸素との反応によって起こります。例えば、溶接作業や金属を切削する際に高温が生じ、その状態で酸素が供給されると、金属が燃える可能性があります。しかし、これらは特定の職業や専門的な状況に限られています。

一般の日常生活では、金属の燃焼を目撃することはまずありません。ただし、非常に高温であることや酸素が豊富な状況では、金属が燃焼する可能性があることを理解しておくと良いでしょう。

人体に影響を与える金属

アレルギー

金属の中には人体に強い毒性を持ち、過剰摂取で中毒症状を起こすものもあります。主に「カドミウム」「水銀」「タリウム」など、水銀は水俣病、カドミウムはイタイイタイ病で知られています。更に溶出した金属イオンがタンパク質と結合してアレルゲン抗原となり、生体に接触してアレルギー反応を示すことがあります。

最後に

私たちの周りには様々な金属が存在します。マンションの非常階段、公園遊具、一見金属には見えない物など、普段の生活に溶け込んでいます。

金属の性質を知った上で改めて見ると、先人たちが創り上げた銅像など歴史を感じる物や、近代的なものなど、違った様相で見ることができ、とても奥が深いことがわかります。

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