「コンクリート」の歴史と歩み。最も古いセメントは約9000年前のもの。

コンクリート

現在知られている最も古いセメントは、イスラエルのガラリア地方イフタフで発掘された、約9000年前のものだといわれてまいす。これは石灰石を焼成して作った気硬性のセメントです。

また、中国では西安の西、甘粛省秦安県(かんしゅくしょう しんあんけん)の大地湾地区で、約5000年前の住居跡から床部分に使われいたコンクリートが発見されています。こちらは、炭酸カルシウムと粘土を主成分とした石を焼成して作られた水硬性セメントです。

コンクリートの歴史

コンクリートは古代ローマ時代に使用され始めました。当時のコンクリートは、ポリマー、石灰、そして砂利から作られました。

19世紀には、現代的なコンクリートの製法が確立され、20世紀には高強度コンクリートや耐震性コンクリートなどの新しいタイプが開発されました。現在、コンクリートは建設業界で広く使用され、高層ビルから橋、道路、ダムなど様々な建造物の基礎となっています。

「コンクリート」は世界中で確認されている

ピラミッド

エジプトのピラミッドでも使われていた。

有名なエジプトのピラミッドやキプロス島の古代寺院は石造ですが、積み上げた切石どうしをつなぐ目的として、石膏モルタルや粘土モルタルが使われています。

これらのモルタルは、切石を正確な位置に積みやすくする潤滑材として、また切石の角が欠けるのを防ぐためのクッション材として使われています。

石膏モルタルは、焼き石膏に砂と水を混ぜたもので、粘土モルタルはナイル川の石灰分を含む沖積土に、適量の水を加えて練り混ぜたものです。

古代ローマ帝国が支配した広大な地域には、多くの社会基盤施設が整備され、建造物が作られました。その多くが石造や煉瓦造で、目地にはやはりモルタルが使われていました。

このモルタルは、消石灰と火山灰とを混ぜてセメントを作り、これに砂やモザイク破片、煉瓦を砕いた砂などを加えて水で練り上げたものでした。紀元200年ごろには、すでに石灰石を焼いて消石灰を作る窯が使わていたということです。

このセメント、モルタルはその後も使われ続け、18世紀中期まで大きな進歩はありませんでした。

ところが1756年、イギリスのスミートンが、火事で焼失したエジストーン灯台を再建するとき、石灰石だけでなく粘土成分を大量に加えて焼いた消石灰を使うと、水と反応して硬化する性質があることを発見しました。

この発見がきっかけとなって科学的は研究が進み、1796年に「J・パーカー」が、粘土質の石灰石を窯で焼き、それを粉砕してセメントを作る製法の特許をとり、このセメントは後にローマンセメントと名付けられ、テームズ川河底のトンネル工事などに広く使われました。

セメントの発明

セメントは、1840年代にフランスの Joseph Aspdin(ジョセフ・アスプディン) によって発明されました。彼は、石灰と粘土を熱することによって、ポートランドセメントを作り出しました。このセメントは、水と混合することで硬化し、強固なコンクリートを形成することができます。セメントは、建設業界で広く使用され、現在では、新素材や技術の進歩により、耐震性や耐久性が向上した高性能セメントも開発されています。

実用化セメント

1824年イギリスの煉瓦職人が、水の中でも硬化するセメントを発明、特許をとりました。その硬さと色合いがイギリスの「ポルトランド島」産の天然石に似ていたため、ポルトランドセメントの名前が誕生。

その後、配合原料や焼成温度による改良が進み、1850年頃には、現在と変わらない製造法が確立、品質と引張り力の向上も相まって、コンクリートは社会のさまざまな場面で使われるようになりました。

鉄筋を入れる

1867年に、セメントモルタルの中に、針金を網状に入れて丈夫な植木鉢を作ったのが始まりです。1875年には、支点間隔15.6m、幅4.2mの鉄筋コンクリート造のアーチを作りましたが、引き張り力を鉄筋が受け持つという原理を意識したわけではなく、単に形を整えるために配置したものでした。

その後、1890年には鉄筋による剪断力に対する補強方法を発見。こうした理論の確立と材料の進歩を契機として、鉄筋コンクリートは普及してきたのです。

鉄筋コンクリートが日本に導入されたのは

鉄筋コンクリートは、日本では1910年代に導入されました。当時、日本は、米国やヨーロッパと同様に、鉄筋コンクリート技術を積極的に採用していました。鉄筋コンクリートは、鉄骨とコンクリートを組み合わせた新しい建築材料です。鉄筋はコンクリートを強固に保つ役割を果たし、大規模な建造物の建設に適しています。鉄筋コンクリートは、日本では今も広く使用されており、高層ビルや橋など、大規模な建造物の基礎となっています。

最後に

現在では当たり前のように使われているコンクリート、私たちの平穏な生活も先人たちの知恵のおかげ。冷たいイメージのコンクリートですが、改めて歴史を知ると暖かい気持ちになります。

コンクリートは、私たちの現代社会において不可欠な建築材料であり、その歴史と進化は驚くべきものです。その暖かい側面を再評価することで、私たちは先人たちの知恵と努力に感謝し、持続可能な未来に向けて進化し続けるこの素材をより価値あるものとして捉えることができます。

この記事を書いた人
てつ

➤こんにちは「てつ」と申します。
➤神奈川県在住
➤職業 運転手
長年運転手を続けているのですが、最近では交通事情や環境問題について深い関心を持つようになり、自分ができることを考えながら、日々の運転に取り組んでいます。
近年では環境問題に配慮した車両や燃料の使用も求められており、運転手は省エネやエコドライブなどの取り組みが重要です。
➤このブログでは、日常で気になったことや、これまでのさまざまな経験をもとに記事を作成し、皆さんに紹介しています。

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